【郵便局定期預金関連】ゆうちょ銀、貯金金利引き上げへ 4月8日から
2024.04.05 16:08
「【郵便局定期預金関連】ゆうちょ銀、貯金金利引き上げへ 4月8日から」ニュースの要約
・ゆうちょ銀行は4月8日から貯金金利を引き上げ、通常貯金と通常貯蓄預金を年0.001%から0.02%に設定
・定額貯金は0.002%から、3年未満を0.023%、3年以上6年未満を0.11%に引き上げ
・定期貯金も引き上げ、1カ月~2年を0.025%、3~4年を0.15%、5年を0.2%に設定
・通常貯金の引き上げは2007年3月以来、定額貯金と定期貯金(5年物を除く)の引き上げは2007年6月以来の実施
ゆうちょ銀行は、4月8日から貯金の金利を引き上げる。通常貯金と通常貯蓄預金は年0.001%から0.02%にする。定額貯金は一律年0.002%から3年未満を0.023%、3年以上6を0.11%にする。定期貯金も引き上げる。
4月5日夕に発表した。定期貯金は預入期間1カ月~2年を年0.002%から0.025%に、3~4年を年0.002%から0.15%に、5年を年0.07%から0.2%にする。
通常貯金の引き上げは2007年3月以来、定額貯金と定期貯金(5年物を除く)の引き上げは同年6月以来となる。定期貯金5年物は、日本銀行が23年10月にイールドカーブ・コントロール(YCC)を事実上撤廃して長期金利が上昇したことを踏まえ、今年1月に引き上げている。同行は「市場金利の動向を踏まえ、利ざやを確保するとともに、他行の動向も勘案して(今回の金利引き上げを)決めた」(広報部)という。
日銀は3月18、19日に開いた金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決めた。この決定を受けて、メガバンクや地域金融機関は普通預金と定期預金の金利を引き上げに動いた。
預金金利の引き上げは三菱UFJ銀行が3月21日から、ほかの大手行や地域銀行などは4月1日から適用する動きが相次いだが、ゆうちょ銀は1週間遅い対応となる。
ニッキンオンライン編集デスクの目
ゆうちょ銀行の金利改定は、日本の金融政策における重要な転換点を象徴する動きだ。巨額の貯金残高 を抱える同行にとって、金利上昇は資金調達コストの増加を意味する。そのため、経営への影響を慎重に見極めながらの判断となった可能性は高い。
郵便局の定期貯金の利率を振り返ってみると、定期貯金4年物の利率は、1996年 には1.6%を超える高金利だったが、その後は急降下して 1998年 には0.3%までに低下している。2020年 になると0.002%にまで落ち込んだ。
日銀の金融政策正常化が進展するなかで、郵便局の定期貯金戦略は大きな転換点を迎えることになるだろう。収益源の多様化も課題になる。
デジタル化の進展によって顧客の金融行動も変化しているため、実店舗網である郵便局との連携強化も重要だ。金利競争だけでなく、決済・送金サービスの拡充やデジタルチャネルの整備など、総合的な競争力の向上が求められる。
他の金融機関にとって、ゆうちょ銀行の動向は預金動向を左右する重要な指標だ。地域金融機関は預金基盤の維持・拡大に向けて、金利設定だけではなく、顧客接点の強化や商品・サービスの差別化を検討する必要がある。