「不安抱え営業」 氷見伏木信金の支店長が被害状況語る 能登半島地震

2024.01.09 05:08
災害
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液状化で沈下した電柱をみる縁山支店長(1月5日、伏木支店)
液状化で沈下した電柱をみる縁山支店長(1月5日、伏木支店)

1月1日の石川県の能登地方を震源とする最大震度7の地震は、隣県の富山県にも被害をもたらした。震度5強を観測した高岡市の伏木地区では、地面の液状化や地割れなどが発生。同5日、記者は現地に出向き、氷見伏木信用金庫伏木支店の縁山(えんやま)秀樹支店長(51)に被災時の話を聞いた。


高岡市に隣接する氷見市に自宅がある縁山支店長。元日、家族で団らんしていた最中の緊急地震速報に緊張が走った。津波から逃れるため高台の避難所に一家で身を寄せ、一晩を明かした。


2日早朝、被害を確認するため支店へ。ロビーには案内用のチラシが散乱し、書類を保管する棚は倒れていた。


停電と断水の被害も。電気工事業の取引先へ相談すると「すぐさま駆け付けてくれた」。修理した業者によれば店舗近くの電柱が液状化で沈下。送電できなくなっていたという。断水もその後解消。だが地震により配水管が一部損傷しており、店舗裏の駐車場が一時水浸しになった。



修理した配水管を指差す縁山支店長(1月5日、伏木支店)
修理した配水管を指差す縁山支店長(1月5日、伏木支店)

仕事始めの4日。渉外係は自身の安全を確保しつつ、安否確認で取引先を訪問した。窓口には通常1日平均で50人前後が来店する伏木支店。被災直後のため、「預金の引き出しなどで相当数の来店があるだろう」と想定していた。ただ開店すると客が殺到するような事態にはならず、「通常営業に近い感覚だった」という。



地震によって地割れが起きた敷地内(1月5日、伏木支店)
地震によって地割れが起きた敷地内(1月5日、伏木支店)

高岡市では3日から、市の職員が被災した建物を回り、倒壊の恐れが無いかなどを確認する「応急危険度判定」を実施。同店の向かいにある北陸銀行伏木支店には「危険」を表す赤いステッカーが貼られ、4日から休業している。


「うちは大丈夫か」――。縁山支店長は不安を募らせる。同店は建築から約50年が経過しているという。「仮に『危険』と判定されたら、この店で仕事は続けられない。高齢の利用者が多く不便をかけることになるだろう」とやるせない。


富山県でも予断を許さない日々が続いている。広範に及んだ能登半島地震の被害を実感した。(北原 駿)


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