マーケット・トレンド(金利) 早まったのか、日銀の出口
2023.12.12 04:25
日本銀行の植田和男総裁が12月7日に「年末から来年にかけて、一段とチャレンジングになる」と国会で語った。マイナス金利解除に向けてメッセージを発してきたとみられる。
筆者は、もっと後になると思っていたので少し驚いた。1月会合は展望レポートが発表されるから、そのタイミングを選ぶと考えていた。
どうしてアナウンスを早めたのかという理由は、FRBの利下げ開始が少し前倒しになりそうだからだろう。日銀がFRBの利下げと同時に利上げすれば、より円高に振れやすい。それを警戒して、2024年の早い時期を選んできたのだろう。
候補日は、1月、3月、4月の3つである。筆者のメインシナリオは4月末に展望レポートが出るときとみている。植田総裁は慎重だから、1月は早すぎる。3月半ばに春闘の集中回答日があって、それを見て3月中旬に解除という可能性はあると思う。今回の発言は、3月説の可能性を高めた。
為替レートは植田発言に驚き、一気に1ドル141円台まで円高が進んだ。日銀が仮に3月利上げを選んだとすれば、年内に追加利上げをするだろうか。
4月、7月、10月に展望レポートが発表されて、7月、10月とさらに物価見通しが上振れれば、年内にもう1回の利上げがあるだろう。4月ではなく、3月に利上げを前倒しするのならば、年内追加利上げの見方も相対的に高まることになる。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野 英生氏
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