マーケット・トレンド(為替) 昨年11月とは似て非なる今年のドル円相場
2023.11.29 04:25
ドル円は10月に昨年高値に迫る151円91銭まで急伸したが、11月に入ると値を下げ、一時147円台前半まで反落した。11月に入ってからのドル円は、昨年の動きをほうふつとさせる。
昨年6月の米CPIが前年比+9.1%まで加速した後、11月に発表された10月米CPIが市場予想を下回ると、ドル円は1日で146円台半ばから6円以上も下落。昨年はFRBが想定外に6月から4会合連続で0.75%幅の利上げを決定したため、ドルを必要以上に買い進めた市場参加者が一気に手持ちのドルを手放したことがドル円急落につながったとみられる。
年明け後のドル円は、3月の日銀総裁人事に伴う緩和修正への思惑から1月に127円20銭台まで下げ幅を拡大したが、その後は日銀の緩和継続、米インフレの粘着性、円売り超過の需給環境の継続などを背景に25円近く上昇したことは周知の通り。
通貨本来の実力を反映した名目実効為替レートは、円が独歩安の様相を呈しており、2023年のドル高円安はドル買いが主因ではなく、円が売られた結果ということがわかる。
米利下げ開始に伴うドル安はドル円の上値を抑える一因になりうる一方、〝高水準の日米2年金利差の継続〟と〝貿易赤字の常態化〟や「デジタル赤字」による〝サービス収支の赤字拡大〟に伴う円売り超過の需給環境が円を押し下げることで、ドル円は緩やかな上昇トレンドが続くとの見方は変わらない。
東海東京調査センター投資戦略部グローバルストラテジーグループ 金利・為替シニアストラテジスト 柴田 秀樹氏
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