七十七銀、青森県のホタテをシンガポールに紹介 現地レストランが採用
2023.10.11 19:30
七十七銀行は、東京電力福島第1原発の処理水放出で中国向けホタテの輸出ができなくなった青森県の水産加工業者を、シンガポール駐在員事務所を通じて現地のレストランに紹介。新たな販路開拓を支援する。このホタテを使った料理の試食会が10月11日に現地で行われ、小林英文頭取が試食した。
同行は、8月24日に中国が日本産水産物の輸入停止措置を行ってから、輸出が比較的行いやすいASEAN(東南アジア諸国連合)を中心に水産品の納入先の開拓、現地輸入者との情報交換、輸出ルートの構築などを進めた。国内では、青森支店を含む全店の取引先へ輸入停止の影響についてヒアリング調査を実施。陸奥湾産ホタテを中国に輸出する小田桐商事が、ほかの国への販路開拓を望んでいることを把握し、支援に乗り出した。
今回、同社のホタテを採用したのは、ミシュランガイドにも紹介されている、シンガポールのイタリアンレストラン「La D’ Oro」(ラ・ドーロ)。同店のオーナーシェフ、佐々木洋平さんが青森県八戸市の出身で、駐在員事務所の行員と従来から交流があり、「東北のために何かできることがあれば」と話していたという。陸奥湾産のホタテについては「うま味と香りが強く、火を入れることでホタテの弾力性が出る」と評価している。
試食会で用意された料理は、ホタテをコブ締めにしてパン粉で揚げる「カペサンテ・インパナータ」という名の料理。試食した小林頭取は、「とてもおいしい。味がしっかりしている」と話した。
今回の支援について「急に処理水の問題が起きてから一カ月くらいでここまでこぎつけて、お客さまのお役に立ったかなと思う。ホタテに限らず東北の商材は世界に通用すると思うので、今後も海外への販路拡大のお手伝いをしていきたい」と語った。同行によると、小田桐商事のホタテは、シンガポールの複数のバイヤーに納入される見通しで現在調整中という。