地銀、2%以上のベア相次ぐ 従業員の意欲向上狙う
2023.05.02 04:50
地方銀行で、2%以上のベースアップ(ベア)が相次いでいる。紀陽銀行は5月1日、定期昇給などを合わせて平均4.5%程度の賃上げを実施すると発表した。千葉銀行は2023年春闘で労働組合からの要求に満額回答で応じ、7月1日から年収ベースで22年度比平均5%超の賃上げを決めた。秋田銀行は4月にさかのぼり行員を対象に年間約2%のベアを実施する予定で、労組との協議を経て正式に決める。各行で賃上げが相次ぐのは物価高に対する生活支援と従業員のモチベーション向上が狙い。
千葉銀行は22年度にも約4%の賃上げを行っており、4~5%の引き上げは2年連続になる。今回、20歳代の若手行員は最大約7%の上昇となるケースもある。22年度に増額した賞与水準は維持する方針。パートタイマーや契約・嘱託行員には、時給や契約給の加算などで報いる。
同行は23年度からスタートした3カ年の中期経営計画で、新たな人材育成方針を制定した。25年度には研修費用や資格取得時の奨励金の拡充を中心に4億円程度を投じる方針だ。
紀陽銀は7月から賃上げ後の給与を適用する。パートタイマーも一律30円引き上げる。ひろぎんホールディングスは5月1日、広島銀行などグループ4社の新卒初任給引き上げを発表。対象は24年度入社組で、7月にはこれを踏まえたベアも検討しているという。
地銀界ではふくおかフィナンシャルグループやいよぎんホールディングス、阿波銀行、東北銀行などが既に2%超のベアを公表している。23年春闘では、西日本地区地銀労組の上部団体「西部地方銀行従業員組合協議会」が15年以来8年ぶりに共闘体制を確立し、「定例給与比2.5%以上」を要求水準として設定していた。