十八親和銀、年間10億円の離島産品売り上げ創出 経営者講習を好機に
2023.02.19 04:46
十八親和銀行は、長崎県内の対馬や壱岐島、五島列島など特定有人国境離島の事業者育成に注力している。離島振興地方創生協会と共同開催のオピニオンリーダー講習会で、企業経営者やマーケティング担当者を講師に招き、事業者に情報を提供。講師の来島を機に離島の1次産品の商談仲介を行い、年間約10億円の離島事業者の売り上げにつながっている。
離島振興地方創生協会は、離島の食産業振興、生産者の生活基盤整備を目的に2020年4月に設立された。同行は事務局に行員1人を派遣し、本部では地域振興部が専門部署として所管する。
両者共催のオピニオンリーダー講習会は21年3月に月1回の頻度で始めたが、新型コロナの影響で同年5月に休止し同年10月に再開した。22年4月以降は2カ月に1回の開催に変更。同協会が選定した食品関連をはじめとした企業の関係者が講師を務め、経験談などを通して情報を提供している。
回転寿司にネタ提供
講習会実施の副産物として、講演で来島した企業関係者と地元事業者の第1次産品をマッチングし、販路拡大や新商品開発の好事例が増えている。
22年9月14、15日開催の五島、新上五島の講習会では回転寿司チェーンを展開する大起水産(大阪府堺市)の代表取締役会長・佐伯保信氏が講師を務めた。佐伯会長の来島を機に離島事業者とブリやクエなどの寿司ネタ提供に関する商談が成立。同年11月3~16日まで期間限定の「長崎県五島フェア」が開催され、以降も継続して離島の魚を取り扱うことになった。
22年3月にロッテの代表取締役社長執行役員・牛膓栄一氏が対馬、壱岐で講師を務めた際には、講習会に参加していた壱岐オリーブ園の経営者と商談が進展。同園の「オリーブリーフパウダー」を利用した製品が商品化された。
山崎製パンも同園のオリーブリーフパウダーを使用し23年1月「オリーブ香るベーグル」を販売。山崎製パンは五島のアグリ・コーポレーションの安納芋ペースト使用した「ランチパック」も関東圏で販売し、好調な売れ行きだったという。
山川頭取も講師に
講習会は22年度でいったん区切りをつけ、23年3月分で終了する。23年1、2月は同行の山川信彦頭取、3月はニチレイフーズの池田泰弘顧問が講師を務める。
2月9日の壱岐での講習会には約60人の事業者が参加。山川頭取は同行の離島振興をテーマに講演。「1次産業を盛り上げるため、バリューチェーン構築に力を入れていきたい」と話した。
今後、離島振興地方創生協会とともに長崎県内の離島事業者の1次産品を中心とした販路拡大支援を本格化する。
同協会は離島事業者とバイヤーとの接点強化に努める。同行地域振興部は、同協会事務局に派遣中の行員と情報共有を徹底し、バイヤーが希望する商品情報の入手とともに営業店に情報を還元。営業店と協働し、該当する事業者の紹介など全面的にサポートする方針。
地域振興部の古瀬卓主任調査役は、「講習会を機に新たな商流を生み出せた。今後は生産性向上などの課題解決に取り組む」とする。
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