【プログマとは?】大手金融G、デジタル資産のインフラへ 新会社「プログマ」設立
2022.12.25 04:36
【プログマとは?】大手金融G、デジタル資産のインフラへ 新会社「プログマ」設立」ニュースの要約
・大手金融グループなどが協力してデジタルアセットのナショナルインフラ構築のため新会社を設立
・デジタル資産の発行・管理基盤「プログマ」と開発を担う「DDC」の運営を三菱UFJ信託銀から移管
・三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行など7社が出資し、将来的な第三者割当増資も予定
・デジタル資産はステーブルコインや暗号資産、NFTなどが対象
・不動産ST市場だけで2032年までに2兆6000億円規模、他のデジタル資産市場も成長が期待される
・新会社「プログマ」の代表には三菱UFJ信託銀の斉藤達哉氏が就任し、IPOも視野に入れる
デジタルアセット(資産)の規格乱立を防ぐナショナルインフラを構築するため、大手金融グループなどが協力して中立性を確保した新会社を設立する。ここに、デジタルアセットの発行・管理基盤として先行する「プログマ」と、この開発を担う「デジタルアセット共創コンソーシアム(DDC)」の運営を、三菱UFJ信託銀から移管する。デジタル資産市場を育成するため、金融グループを超えた独立した組織を形成した。
参加するのは大手金融グループなどを代表する三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ、SBI PTSホールディングス、JPX総研、NTTデータ。
デジタル資産は、分散型台帳上で電子的に移転可能な財産的価値のこと。主にステーブルコイン(SC)や暗号資産、セキュリティートークン(ST、デジタル証券)、ユーティリティトークン(UT、デジタル優待券)、NFT(代替不可トークン)を指す。
市場規模は不動産STだけで2032年までに2兆6000億円、そのほかのSTも含めると4兆円を想定する。SC決済やメタバース(3次元仮想空間)市場での取引額はさらに大きくなることが予想されている。
将来的に急成長が見込まれる市場だが、決済方式や業務プロセスが取引金融機関ごとに異なると非効率かつ高コストとなり、市場が分断されて取引機会も失われることが危惧される。
そこで規格の標準化を進めてインフラを統一するため、これを運営・管理する新会社「プログマ」を設立する。当初は7社の出資だが、新たな参加者のため第三者割当増資の余地を残す。具体的には23年9月以降の設立を目指し、三菱UFJ信託銀の出資比率は49%以下に抑える。

新会社の代表にはプログマを牽引(けんいん)けん引してきた斉藤達哉・三菱UFJ信託銀プロダクトマネージャーが就任する。50人規模のスタートアップ企業として将来のIPO(新規株式公開)も視野に入れる。
国内でのデジタル資産取引の標準化を進め、世界的に広がるメタバース市場にも対応していく考えだ。
ニッキンオンライン編集デスクの目
デジタルアセットは、ブロックチェーン技術を活用した新しい資産形態として発展してきた。当初は暗号資産(仮想通貨)が主流であったが、2020年以降は実体経済やデジタル資産に紐付いたセキュリティトークン(ST)やユーティリティトークン(UT) のような資産も発展した。
しかし、市場が拡大している一方で発行・管理に関わる基盤が統一されておらず、非効率性とリスクが指摘されてきた。各金融機関が独自のプラットフォームを開発・運営する状況が続いたため、市場の分断化も課題となっている。
プログマの設立は、このような課題に対する金融業界の包括的な解決策として位置づけられるだろう。注目すべきは信託銀行3社が共同で参画している点だ。信託銀行は従来から有価証券の保管・管理において中心的な役割を果たしてきた。デジタルアセットにおいても、専門性とインフラを活かした新たなビジネスモデルの構築が期待される。
なお、透明性の確保を目指した規制は諸外国でも進んでいる。たとえば、欧州では2023年に「MiCA(Markets in Crypto-Assets)」が承認され、 暗号資産市場の透明性向上やセキュリティの強化が図られた。2024年度中には適用される予定だ。
日本においても、投資家保護や不正取引の防止を目的とした規制の強化が以前から求められていた。プログマの設立は、日本国内の金融機関が国際的なデジタルアセット市場で競争力を維持し、国内市場における取引の効率性と安全性を高めるための一環と言える。