SBI、ウェルスナビと決別 ロボアド勢力図に影響

2022.11.25 04:50
資産形成
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手軽に自動分散投資できるロボアドバイザー業界の勢力図が変化する可能性が出てきた。最大手のウェルスナビの事業成長を支えてきたSBI証券とSBIネオモバイル証券が、同社との業務提携を解消したためだ。SBI証券は「SBIラップ」の提供を始めており、自らロボアド業界に参入。資産形成層や運用資産の獲得競争が業界内で激化しそうだ。


ウェルスナビは提携パートナーの拡大や広告宣伝の推進などを通じて、2社の依存度を下げてきた。2017年は受入手数料全体の5割近くを占めていたが、22年は2割を下回った。


2社との提携サービスによる利用顧客の資産は、ウェルスナビの預かり資産全体の2割程度にあたる1114億円(簿価ベース)。11月4日の提携解消後、ウェルスナビの直販事業に引き継がれた。22年の2社経由の新規顧客獲得数は3200人で全体の約1割。同社は2社への支払いが今後不要となるレベニューシェアの一部を広告宣伝費に充て、新規顧客獲得数の減少を補う。ただ、顧客の解約が今後進む可能性はあるとみている。


両社から9月30日に通知書を受け取ったウェルスナビ側は、提携解消について「話題や議論になったことは一切なかった」(柴山和久CEO)。SBIホールディングスは、21年8月にロボアドを提供するFOLIO親会社を子会社化。22年3月末にはSBIラップの提供を始めたなかで、SBI証券の髙村正人社長は「ウェルスナビへの送客を止めせざるを得なかった。経済合理性に基づいた経営判断」と説明する。


人工知能(AI)によるマーケットデータの分析を活用するSBIラップは、3月末のサービス開始から約7カ月で残高が200億円を突破。手数料を低く抑え、残高に応じたポイントプログラムなどで差別化する。10月には新生銀行向けに同ラップを対面で提供を始めた。今後も提携先を拡大する方針だ。〝ウェルスナビ一強〟の状況にどう影響するか注目される。

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