全銀協5委員長に聞く③関・市場国際委員長 TIBOR改革を円滑に 

2022.09.22 04:45
インタビュー
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関浩之・市場国際委員長(三菱UFJ銀行取締役常務執行役員)


――米ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)公表停止が迫っている。
 「金融庁と日銀の調査によると、公表停止される2023年6月末を越えて満期が到来する既存の米ドルLIBOR参照契約の多くが、いまだに移行対応を完了していない。米ドルは国際取引の基軸通貨であり、国内主要行を中心に幅広く利用されている。米ドルLIBORの新規取引停止への対応継続に加え、既存取引の移行を計画的に進める」


――全銀協によるTIBOR改革の状況は。
 「全銀協TIBORは、IOSCO(証券監督者国際機構)が示した原則7の『データの十分性』と原則13の『移行』について特に改善の余地があり、論点整理を進めている。24年までに改善を完了したい。お客さまと金融機関の双方への負荷が予想されるが、過去のLIBOR対応からの知見・経験を生かして円滑に進めていきたい」


――店頭デリバティブ報告規制は。
 「今秋には規制内容がおおむね確定する見通し。報告項目に関しては、FSB(金融安定理事会)、CPMI(BIS決済・市場インフラ委員会)及びIOSCOにより提示された、CDE(重要データ項目)、LEI(取引主体識別子)、UTI(固有取引識別子)の導入が想定される。現在は各国当局が国際基準を国内法制化するフェーズにあるが、国内では13年の取引報告規制導入以来の大規模な改定となる。当局とコミュニケーションを取りながら、24年4月1日の実施に向けて対応していく」


――金融市場のBCP(事業継続計画)訓練は。
 「日銀の取りまとめで11月に予定している。例年通り首都直下地震を想定するが、今回は市場取引のコアタイムのなかでも市場参加者が特に繁忙な9時頃をあえて被災想定時刻とする。市場における防災力の更なる強化や課題の炙り出しを図りたい。新型感染症やサイバー攻撃など多様化する脅威にも備える」


◆関 浩之氏(せき・ひろゆき)=兵庫県出身、54歳。90年慶大卒、入行、22年4月MUFG執行役常務市場事業本部長、同年6月三菱UFJ銀取締役常務執行役員市場部門長。

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