金融庁、マネロン指針の付随文書改訂 顧客管理を充実
2022.08.07 04:42
金融庁は8月5日、マネーロンダリング対策ガイドライン(指針)の付随文書である「FAQ(よくある質問)」を一部改訂した。これまでの検査などを通じ、金融機関に同庁の考え方が十分に浸透していないことが分かったため、顧客管理のあり方などの解説を充実させた。
リスク評価のための調査に顧客が応じなかったり、調査票が把握している住所に届かなかったりした場合、取引履歴データも踏まえて顧客を「高リスクとすることが考えられる」との見解を示した。高リスクとした顧客の評価を見直す際は、「営業実態の把握や実地調査、顧客に対して対面で確認することが必要な場合もあり得る」とした。
同じく顧客管理では、取得すべき書類の具体例として、1月に制度が創設された「実質的支配者リスト」を追加した。このほか、疑わしい取引の届け出については、分析結果や事例を職員に定期的に還元するなどして、システムとともに人による検知能力も高めることが必要との考え方を示した。
金融庁がFAQを改訂するのは、「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」という考え方を一段と明確化した3月以来。同庁は金融機関に対し、マネロン対策指針に掲げた「対応が求められる事項」を2024年3月までに満たすよう要請している。