(更新)SMBC日興証券、調査委が相場操縦で報告書を公表 「規範意識薄く」

2022.06.24 15:18
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SMBC日興証券幹部による金融商品取引法違反容疑(安定操作)に関して、6月24日に弁護士3人で構成される調査委員会が調査報告書を公表した。問題となったブロックオファー(BO)取引の対象銘柄に行われた自己勘定取引について、ガバナンス態勢の不備や社内全般にわたる規範意識の希薄性を指摘した。


報告書によると、SMBC日興証券はBO取引銘柄の自己勘定取引を明文で禁止または制限する社内ルールを設けておらず、関連する発注についてシステム上の制限もなかった。また、売買管理部は相場操縦の観点から個別に価格形成に不審な値動きがないか審査する「イベント審査」を行っているが、BO取引は対象外だった。


社内全般の規範意識の薄さも課題とした。現場レベルでは、ヒアリング対象者の多くからBO取引銘柄に係る自己勘定取引について、肯定する旨の弁明があるなどプリンシプルベースの規律意識が社内に根付いていなかったことを問題視した。


経営レベルでは、問題点を認識ないし認識し得た役員が少なからず存在していたが、改める措置や対策がなく、経営陣の不公正な取引に関する危機意識及びそれを醸成するための社内措置が不十分だった。


また、売買審査担当者の人材不足や部門横断的にリスク管理を行う態勢の不備といったガバナンス態勢全般の機能不全、人事政策におけるコンプライアンスの位置づけに弱さがあったとした。


同委員会は調査を踏まえて再発防止策を提言。自己勘定取引の在り方を含む業務運営の見直し・総点検、全社的な規範意識の向上と人事政策の改善、経営陣の明確なコミットメントと任務遂行などの必要性を示した。



(左から)猪瀬真哉取締役兼常務執行役員、近藤雄一郎社長、野津和博取締役兼専務執行役員(6月24日、本社)

同日、記者会見したSMBC日興証券の近藤雄一郎社長は、報告の受け止めについて「全社で抜本的な改革を進めていかなければならないことを痛感した」と述べた。自身の進退については「行政処分等も想定される。今後、責任の所在を明確にし、私を含めた厳正な社内処分など適切に対処する」と語った。


社内のコンプライアンス態勢強化には、業務部門ごとの実態に見合った研修の導入やKPI(成果指標)の設定や効果の見える化などを検討するとした。

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