日銀の黒田総裁、「値上げ許容」発言を撤回
2022.06.08 19:02
日本銀行の黒田東彦総裁は6月8日、「家計の値上げ許容度も高まってきている」との発言を撤回した。衆院財務金融委員会で「全く適切ではなかった」などと述べた。6日の講演での「値上げ許容」発言後、「国民の生活実感とずれている」などと批判が相次いでいた。
8日の財金委員会では、黒田総裁に対して厳しい意見が寄せられた。立憲民主党の櫻井周氏は「誤解を招いたのではなく、認識が間違っている」とし、発言の撤回を要求。黒田総裁は、「家計が苦渋の選択としてやむを得ず値上げを受け入れているのは承知している」としつつ、「撤回する」と応じた。
「金融ジャーナルを読まれましたか?」。立憲民主の野田佳彦氏は、同誌6月号に掲載された渡辺努・東京大学教授の論考を引き、「表現は値上げに対する『許容度』ではなく『耐性』だ」と指摘した。黒田総裁は6日の講演で、渡辺教授による家計調査を引用して「値上げ許容」発言をした。同誌の論考にも調査に関する記述があった。
野田氏は、「耐えるというのは買い物に行く回数や量を減らすこと。それを許容度と言うのは研究の意義をはき違えている」と追及。これに対し黒田総裁は、「渡辺教授が直接的に許容度という表現を使っていないのはその通り。全く不適切な表現だった」と謝罪した。
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