総務省公表、消費者物価「2%」超え 継続期間が焦点に
2022.05.20 13:16総務省は5月20日、4月の消費者物価指数(CPI)を公表し、全品目の価格動向を示す総合指数から生鮮食品の影響を除いた「コア指数」が前年同月比で2.1%上昇したことを明らかにした。2020年を100とした指数は101.4。「2%超え」は、日本銀行が異次元金融緩和政策を導入した2013年度以降、消費増税の影響があった14年度を除いて初めて。
4月CPIは、世界的な物価高やウクライナ侵攻の長期化でエネルギー関連価格の高止まりが続き、総合指数を約1.4%ポイント押し上げた。また、3月まで下押し要因だった携帯電話通信料下落による影響が大方、剥落したことも上昇率を一段と高めた。
ただ、「サービス」全体の伸びは鈍い。「医療・福祉」「家事」など、なお価格が下落するカテゴリーが散見され、身の回り品の価格を中心に上昇する「財」とは対照的な姿となった。生鮮食品とエネルギー価格の影響を除いた「コアコア」指数は0.8%と2%を大きく下回る。
日銀の金融政策に対するスタンスも「品目間の広がりに乏しい上昇」(黒田東彦総裁)として緩和継続を堅持し、現行政策の修正や引き締めへの転換には距離を置く。経済全体でみた需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価や賃金の上昇率も高まっていくという「日銀が思い描く理想の物価上昇の形とは程遠い」(市場関係者)からだ。
実際、4月の展望レポートの政策委員見通しでは、これまで示してきたコア指数に加え、コアコア指数の予測も参考値として新たに掲示。「エネルギー価格の変動により、ヘッドライン(の数値)と基調的な物価の動きが大きく乖離する」(日銀幹部)局面では、同指数の動向も合わせてみていくことを強調したとみられる。
今後の焦点は「コストプッシュによるインフレは持続しない」(黒田総裁)とされる「2%超」の継続期間。日銀は、現行政策の柱の一つであるマネタリーベース(資金供給量)の拡大について、コア指数の前年比上昇率の実績値が「安定的に」2%を超えるまで継続するというフォワードガイダンス(政策指針)を置いている。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は「安定的」の解釈に幅があるとして、「コア指数のさらなる上昇や高止まりが3カ月、半年と続くなかでも大規模緩和を続けた場合、マーケットなどへの説明が求められる」とみる。
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