三井住友FG、役員報酬に定量ESG評価 気候変動取り組み加速
2022.05.17 04:34
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、気候変動に対する取り組みを強化する。移行リスクの分析対象に国内で初めて鉄鋼セクターを加えるほか、電力セクターでは温室効果ガス(GHG)排出量の中期削減目標を新規設定した。新たに役員報酬評価に定量的なESG(環境・社会・ガバナンス)評価項目を追加し、経営陣のコミットメントを高める。
ビジネス機会の捕捉とリスク管理の両面から、21年度の三井住友銀行の顧客エンゲージメントは約6000社と、その前の年度比で約3倍に急増した。対話を通じたシナリオ分析の高度化を進め、移行リスクの分析対象として電力や炭鉱採掘など5セクターに、鉄鋼と自動車の2セクターを追加した。
電力セクターでは、30年に発電量あたりのGHG排出量を20年時点の332gCO2e/kWhから半分程度への削減を目標に掲げた。顧客のトランジションや技術革新を支援し、国際エネルギー機関(IEA)の2℃未満シナリオを十分に下回る水準を達成したうえで、グローバル金融機関として1.5℃目標を目指す。
グループ内の態勢強化に向けて、4月に実施した組織改定に加えて役員報酬体系を見直した。定量目標としてサステナブルファイナンスと自社GHG排出量削減の社内目標達成率を設定。定性目標の主要ESG評価機関評価と合わせ、賞与基準額の最大10%に反映させる仕組みとした。
既存の取り組みもアップデートする。石炭火力発電に対する融資は、これまでのプロジェクトファイナンスに加え、設備に紐づくコーポレートファイナンスに対しても40年までの残高ゼロを目指す。足元の関連与信は合計約3800億円ある。
石油ガスや石炭などエネルギーセクターは、8月にTCFDレポートにおいて中期削減目標を公表する。
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