日銀、ニーズ捉えるオンライン授業 2年目で〝海外リピーター〟も
2022.05.16 04:47
日本銀行が独自の3D・VR(仮想現実)コンテンツを活用し、2021年春に始めたオンライン授業「教室で、にちぎん」が評判を呼んでいる。日銀行員によるレクチャーや本店本館見学に、学校や自宅に居ながらリモート参加できる開催スタイルがニーズを捉え、21年度は国内外の小学校~大学・大学院向けに計21回実施。2年目の22年度は海外の〝リピーター〟を含め、21年度を上回る実施・予約ペースとなっている。
「コロナ禍で困っている学校のニーズに寄り添いたい」(情報サービス局の川村憲章企画役)――。コロナ禍で修学旅行や校外学習の見合わせが相次ぐ中、日銀はオンライン会議システムを用いた遠隔での学習プログラムを21年5月から運営。情報サービス局の担当職員が、お金のイロハから日銀の役割、日本の金融政策の要点まで参加者層に合わせて説明。また、重要文化財に指定されている本店本館の3D・VR映像を使用したリモート見学も職員の案内付きで実施している。
〝英語版〟の授業も設け、海外の学校向けにも展開。5月12日には、シンガポールのテマセク・ポリテクニック(高等専門学校)に対して昨年に続き実施した。教員や学生ら約40人が参加し、同局の伊崎真司氏が日銀の役割・使命やイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)といった現行の金融政策を解説したほか、消費者物価指数の推移など日本の経済環境にも触れて理解を促した。本店本館のリモート見学では、設立の背景や歴史を学びつつ、旧役員フロアや地下金庫を見て回った。
参加学生からは「実際に訪れたような授業・見学だった」「物価の安定がなぜ大切かということがよく理解できた」といった感想が聞かれた。教員の今西奈美さんは「金融機関やセントラルバンク(中央銀行)を学ぶとても良い機会。将来的には(日銀が取り組む)オルタナティブデータ分析などに関するレクチャーも聞ければ」と期待を寄せる。
22年度は、同校を含む国内外の3校で実施。川村企画役は「今後も9校での開催が決まっており、実施回数は21年度より増える見通し」と手応えを示す。
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