新潟県の「はばたき」と「三條」の2信組が合併へ
2022.04.21 04:45
新潟県のはばたき信用組合(宇野勝雄理事長)と三條信用組合(佐藤一正理事長)が、合併に向けた協議を進めていることが分かった。はばたき信組が存続組合となる見通し。4月22日にも発表する。
両信組の預貸金を合算すると、預金は1657億円で県内信組3位、貸出金は837億円で協栄信用組合を抜いて同2位となる。
新潟市に本店を置くはばたき信組は、2019年12月に旧新栄信組と旧さくらの街信組が合併して誕生。21年9月末の預金量は県内10信組中3位の1151億800万円。
一方、三条市に本店を置く三條信組の預金量は同7位の506億8400万円。第四北越銀行や大光銀行などが複数の店舗を構える激戦区に立地。同じ協同組織金融機関で、規模の勝る三条信用金庫と差別化を図ることにも苦慮していたほか、21年9月時点の自己資本比率が7.47%と経営基盤の強化も課題だった。
2信組の営業エリアは離れているが、互いの経営基盤を強化し、コロナ禍で苦しむ地元の中小零細企業を支援する。
人口減少が進む新潟県には、現時点で9信金と10信組が存続。超低金利下で預金量が1000億円を下回る小規模な金融機関も多く、再編は業界内で常に意識されてきた。県内トップの第四銀行と同2位の北越銀行が合併したことも、信金・信組の危機感をさらに高めている。
こうしたなか、近年、県内信組再編で台風の目となっているのが、はばたき信組だ。新栄、太陽、五泉と県北部に位置する各信組が合流しており、ここに県中央地域の三條信組も加わる。
三條信組が営業する三条市は県内2位の協栄信組が本店を置く燕市と隣接しているが、今回の合併により、はばたき信組が県央に進出することになる。県北部・中部地域には他にも複数の小規模信組が点在しているため、関係筋からは「再編の流れがさらに強まるのでは」という声も聞かれる。
複数関係者の話を総合すると、今回の合併は全国信用協同組合連合会が強く後押しして実現した形跡が見られる。はばたき信組は20年、全信組連を通じて金融庁から20億円の公的資金注入を受けている。
今回の合併に伴って、金融庁が21年に創設した金融機能強化法に基づく資金交付制度の利用を申請した場合、地域銀行以外では全国初のケースとなる。
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