武蔵野銀と千葉銀、飲料購入で貢献 導入広がる寄付型自販機

2022.02.27 04:55
SDGs ESG 社会・地域貢献
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飲料1本購入で1円が埼玉県生態系保護協会に支援される(2月16日、武蔵野銀)

飲み物を買うだけで、無理なく寄付ができる「寄付型自動販売機」。SDGs(持続的な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)に対する意識の高まりから、金融機関で設置の動きが広がる。本店の建て替えを機に本格的に導入した、武蔵野銀行と千葉銀行の取り組みを見た。


震災きっかけに設置


何か被災地支援ができないか――。武蔵野銀は、東日本大震災後の2012年に被災地を支援する寄付型自販機の設置を開始。21年12月の新本店グランドオープンにあわせて、全ての自販機を寄付型に変更した。15台を設置し、寄付対象は医療福祉や環境保全などSDGsに関連した団体を選定。21年11月には埼玉県と自販機の売り上げの一部を「シラコバト長寿社会福祉基金」に寄付する協定書を結ぶなど、寄付総額は10年間で100万円以上となっている。


取り組みは行員から好意的に受け止められ、「社会課題を考えるきっかけになった」といった声が多く聞かれる。今後は営業店の自販機を寄付型に変えていくことも検討している。


5万8000本を売り上げ


千葉銀は、20年11月の新本店ビル完成に伴い寄付型自販機の導入を拡大。社員食堂のほか、図書コーナーがあるナレッジセンターなどに全12台を設置している。



「今日はピンクリボンに」などその日の気分で気軽に寄付できる(2月16日、千葉銀本店)

導入から約1年で、売上本数は約5万8000本を達成。本店には1200人が勤務しているため、1人あたり約50本を購入したことになる。寄付先は日本対がん協会の「ほほえみ基金」など5先で、地域振興で千葉ロッテマリーンズ応援自動販売機も設置。22年1月末までの寄付実績は約26万円となった。 千葉県では、県と県内3行(千葉、千葉興業、京葉)、経済団体が22年1月に発足した「ちばSDGs推進ネットワーク」を通じてSDGs機運が拡大。千葉興業銀も22年度中に複数の寄付型自販機を本店に設置する方針だ。


金融機関の導入に期待 寄付型自動販売機普及協会は、自販機を活用して社会貢献活動を行う団体を支援する目的で11年9月に設立。同協会に係る寄付型自販機は全国に約1500台。年間で推計2500万~3000万円の寄付が集まる。


同協会によると、「販売手数料の減少分を寄付に回したいと考える企業や、飲み物の値段が少々高くても社会貢献したいと考える消費者が増えた」という。19、20年度には四つの金融機関が同協会を通じて寄付型自販機を設置。同協会の佐藤恒久理事は、「影響力の大きい金融機関が導入することで、設置拡大の流れを加速したい」と語る。

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