顧問サロン、中小企業にアドバイス 平塚信金が仲介
2022.02.27 04:53
顧問サロン(東京都)は、大手企業OBのシニアが、オンラインで中小企業に経営アドバイスするサービスを手掛ける。同社は2022年に入り地域金融機関との関わりを深めている。2月には、平塚信用金庫(神奈川県、石崎明理事長)の仲介を受け、同信金の取引先に助言した。
同社は21年に創業。市原大和代表は東京海上日動火災保険の元社員で、20年に社内起業コンテストで優勝し、顧問サロンの基礎となる事業を開始した。
大手企業で役員や管理職を経験しながらも、退職後に活躍の場が無いシニアの埋もれた能力を生かそうと、オンラインサロンを立ち上げる。同サロンでシニアが全国の中小企業経営者の悩みに自らの経験を踏まえて助言する。現在、博報堂や日産自動車、リクルートなどで活躍したシニア35人が登録。これまで創業間もない観光業者やパンプス製造業者など38社にアドバイスした。
これまで同様のサービスは企業が料金を支払い、アドバイザーであるシニアが助言する構図だが、この場合「企業側の利用コストが高く資金力のある大会社しかサービスを使えない」(市原氏)と指摘。案件も優秀なアドバイザーに集中しがちだった。
顧問サロンは、ターゲットを資金力の乏しいスタートアップや中小企業に定め、既存サービスの補完を目指した。企業の相談料は無料。その代わり、シニアから登録料(月額5500円)を徴収し、彼らには毎週1回相談会に参加できる特典を与えている。「企業はさまざまなキャリアを持つシニアに無料で相談ができる。シニアもサロンをきっかけに中小企業とパイプができ、“顧問”などとして会社に入り込める」と強調する。なお企業とシニアの間でマッチングが成立した際も、同サロンへの手数料は発生しない。
優秀な経歴を持つシニアでも現在の日本の労働市場では需要が少ない。市原氏は「中小企業と関わりの深い地域金融機関とつながれば彼らが活躍する機会を増やすことができる」と期待を寄せる。
今年に入り平塚信金と連携。2月2日には、同信金の取引先で美容院を運営するライオンファミリーグループ(平塚市)の井出真太郎社長が相談者として顧問サロンに参加。シニア12人が約2時間にわたって、井出氏の悩みに答えた。
若手社員の「他にやりたいことがあり、本気で美容師を志す人が少ない」という悩みに対して、人事部経験の長いシニアからは、同社が検討している社内副業制度を持ち出し、「早期に導入し、パラレルキャリアも形成できる仕組みを整えては」と後押しした。