日銀、インフレ予想の動き「重要」 7月会合議事で
2025.09.25 14:18.webp)
日本銀行は9月25日、前々回(7月30、31日開催)の金融政策決定会合の「議事要旨」を公表し、金融政策運営の先行きについて、インフレ予想の動向を注視する政策委員の意見が相次いでいたことを明らかにした。今後の財政政策が物価を押し上げるリスクについても、複数の委員が懸念を表した。
議事要旨によると、ある委員は予想物価上昇率に対し、「まだ2%にアンカーされていないとはいえ、着実に2%に接近している」との認識を述べ、別の委員は、「2%を大きく上回る(消費者)物価上昇が3年以上続く中、予想物価上昇率は2%程度に達しており、これがさらに上昇しないか懸念される」との見方を示した。
また、「コメ価格の前年比上昇率が鈍化しても、人々のインフレ実感が低下しない可能性もある」と海外の先行研究を受けた意見や、「金融政策運営を考えるうえでは、基調的な物価上昇率の決定要因のうち、予想物価上昇率の動きが重要」との見解もみられた。
基調的物価上昇率については、「なお2%には至っていない」との認識が複数の委員でみられた一方、「足元1.5%から2.5%くらいのところにある」「2%ぐらい」と、物価安定目標の「2%」水準に触れる意見もあった。加えて、「物価の上振れリスクを重視せざるをえない局面にある中、今や、物価目標の実現を見据えたコミュニケーションも念頭に置く段階に入った」との考えや、「今後の財政政策が、物価押し上げにつながらないかどうか、十分注意する必要がある」との指摘も複数の委員から出た。
米トランプ関税の影響では、不確実性の高さを引き続き強調する委員が多かった。自動車などをめぐる日米交渉の合意で「不確実性が低下した」との見方を共有した一方、交渉が続く中国など他国の動きや関税影響の後ずれを踏まえ、「なお大きな不確実性が残っている」といった委員の声が並んだ。