地域銀、24年度 4割が預金減 預貸率急上昇も
2025.05.30 04:50
預金量が減少に転じる地域銀行が増えてきた。2024年度末は97行(地方銀行61行、第二地銀36行)の約4割にあたる38行で、預金残高が前年度末比マイナスになった。24年度決算は好調だったが、顕著な預貸率上昇もみられ、どう持続的な収益モデルを築くかが問われている。
KPMGFASの松浦健彦執行役員パートナーは「都市圏、地域圏によらず、預金量が減少に向かった金融機関が驚くほど多くみられたのは、おそらくここ約20年で初めて」と強調する。大手行やインターネット専業銀行による高い金利の設定などを背景に「預金者の金利感応度が高まっている」(東海地区地域銀)なか、全国的に預金獲得競争が激しくなっている。
24年度決算は、マイナス金利政策の解除により貸出金利息が好調で、多くの銀行が増益となった。預金金利の上昇を上回る法人貸出金利上昇を得ており、今のところ金利上昇は金融機関経営にとっては追い風となっている。ただ、松浦パートナーは「ALM(資産・負債の総合管理)的には今後、調達コスト増の影響が強く出ざるを得ない。少なくとも年に0.5%程度の調達コスト上昇に耐えられる収益力を確保する必要がある」と指摘する。
好調な利息収入のさらなる伸長には、預貸率の問題も横たわる。97行のうち7割以上で24年度末預貸率が前年度末比で上昇しており、うち12行は上昇幅が5ポイントを超えた。預貸率が90%を超える銀行は、23年度末の8行から15行に増加した。今後も、分母である預金を確保する難しさは増すことが想定される。
人口減少という構造的な課題もあるなか、別の地銀関係者は「各行が重視する投資分野に差が出始めた」(九州地区)と語る。限られたパイをいかにして囲い込むか。各行の経営戦略に注目が集まっている。