邦銀と海外ファンド、強まる連関性 ショック「伝わりやすく」 日銀分析
2025.04.23 20:15
日本銀行は、世界的に存在感が増す海外ファンドの投資行動による邦銀経営や国内市場への影響分析を深めている。メガバンクや地域金融機関は、異次元金融緩和下の投資信託保有増などでリスクを抱え込み、海外向け投融資残高が足元(2024年12月末)で100兆円に迫る。半面、日本への投資も段階的に膨らみ、270兆円を上回る。海外発のショックやストレスが国内市場に伝わりやすくなっている。
日銀が4月23日に公表した金融システムレポートでは、邦銀などとの結びつきが強まる海外ノンバンクの資金フローや運用姿勢を俯瞰(ふかん)的に分析。国内への影響度やリスクを考察した。
海外向け投融資残高は、10兆円に満たなかったリーマン・ショック前(08年3月末)から段階的に伸び、足元では95兆円に達した。その6割超が「投資信託」で、「米国」が過半を占める。
そのため、米国などでの金融環境悪化が保有有価証券評価損やファンド向け貸出の焦げ付きを通じて邦銀の財務に打撃を与えやすくなっている。
同レポートの定量分析では、海外ファンドの成績(リターン)との相関が高い有価証券ポートフォリオを組む金融機関が業態を問わず広がっていることもわかった。
海外からの投資も拡大。日本向けの証券投資残高は足元で277兆円と、リーマン前の約100兆円から3倍近く膨らんだ。
近年、米ヘッジファンドの存在感が高まり、同残高は70兆円を超す。新型コロナ禍前(19年末)から約40兆円増えた。「投資信託」も、〝いつでも換金できる〟オープンエンド型ファンドを中心に残高を増やし、「ヘッジファンド」と同水準に達する。
海外勢の影響度が強まることで、コロナ・ショック(20年3月)などマーケットに緊張が走る場面では、ファンドなどが一斉に〝投げ売り〟して市場環境が崩れるリスクも増している。
日銀は「海外の金融資本市場やノンバンクに生じたショックが、日本の金融機関に対してより広範に伝播する可能性が高いことに注意する必要がある」(金融機構局)と指摘する。