信金、職員満足度向上に本腰 ツール導入で実態把握

2025.04.05 04:50
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信用金庫は、職員満足度の向上を目指す動きを本格化させる。信金職員数の減少に歯止めがかからないなか、全国信用金庫協会は従業員エンゲージメント調査の業界スキームを構築。複数信金が有料調査ツールの導入に関心を示している。職員のメンタル状態や組織に期待する点などを把握することで、離職防止や生産性向上につなげたい考え。


導入が検討されているのは、人事専門のサポートシステム「HRBrain」。従業員が組織に抱く不満やメンタルの可視化、タレントマネジメント機能などを搭載する。60~80問程度の質問で、人事評価や育成、仕事環境、職場文化などに対する職員の実感と期待を数値化し、ギャップを算出して組織が抱える課題を把握。ストレスやモチベーションに関する調査を、20代など特定の世代に限定して実施することもできる。その分析結果に基づき、人事制度改定に向けた有料のコンサルティングも利用可能だ。


全信協は、サービス提供元のHRBrain(東京・港区)と業務提携。信金の平均エンゲージメントスコアの還元、スコア向上に向けた好事例の展開などを実施する。一定数の信金による利用開始後に、年1回、まとめてデータを還元することを想定している。


「同じ調査の結果を用いることで、業界内の立ち位置を確認できる」(全信協人事管理部)という。2026年度以降に、個別信金の取り組みを事例集にまとめることも検討している。


全信協は、各信金の人事担当部門の役席者を対象とする「人事管理制度研究会」の25年度会合で、エンゲージメント調査の活用法を取り上げる。東京で5月13日、大阪で5月23日に開催する予定。業界スキームの趣旨を説明するほか、同社から講師を招き、調査結果やタレントマネジメントシステムの活用方法、人的資本経営の実践策、エンゲージメント向上策などを共有する。


信金の常勤役職員数は、23年3月末に10万人を切り、25年2月末現在で約9万8000人。男性職員の減少が顕著で、5年前の20年3月末と比較すると10%減少した。新卒者の採用数は予定数を下回る状況が続いている。


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