全銀協、会員行に貸金庫の一斉点検を要請 金融庁の指示踏まえ通達発出
2024.12.18 16:19
全国銀行協会は12月18日、すべての会員行に対して貸金庫の管理態勢の強化を促す通達を発出した。三菱UFJ銀行で元行員が貸金庫から十数億円相当の顧客資産を盗み出した事件が発生したことを受けたもの。「本事案を踏まえ、貸金庫の管理態勢を点検し、その高度化に努めるとともに、従業員一人ひとりに対して、改めてコンプライアンスの重要性や良識にもとづいた行動の必要性を再徹底」するよう求めた。
全銀協がこのような一斉点検を呼びかけるのは異例。今回の事件が世間に与えた衝撃は大きく、利用者の不信感が金融機関全体におよぶことを避けるため、迅速な行動を求めたものとみられる。
12月17日に金融庁と主要行などとの意見交換会が開かれ、同庁から金融界に対して「二度とこのような事案が発生することがないよう、貸金庫の管理態勢について改めて確認すべき」という旨の指示があったという。
通達文には、具体的に全11項目にわたる点検項目も例示した。貸金庫室・貸金庫の開閉手続きや予備鍵(副鍵)保管ルールの点検に関しては、①銀行員による貸金庫格納品の窃取可能性がないか➁貸金庫室・貸金庫の開閉権限を、管理職を含む役職者に限定しているか➂定期的な自店、本部または第三者による検査の実施を定めているか――という3項目の着眼点を示した。
三菱UFJ銀の窃盗事件で不正利用された副鍵の取り扱いに関しては、①未利用鍵は管理している数と突合(とつごう)できているか②保管箱に保管されているか、保管袋に入っているか③保管袋が破れているなど開封された形跡はないか④保管袋は顧客の届け出印にて割印されているか、三文判などで偽造されていないか――という4項目を例示した。