信金、最適な店舗体制模索 課統合も一部で再見直し
2024.11.01 04:40
信用金庫で、人手不足感が強まるなか、最適な営業店体制の模索が続いている。足元で進むのが3課から2課体制への集約。融資担当を、渉外担当や預金担当と統合することで、人員配置を最適化し営業力を強化する狙いなどがある。ただ、本部のバックアップ不足や、役割分担が不明確だったことを要因に職員1人当たりの業務量が増えるケースもあり、3課体制に戻す信金も出てきた。
従来は渉外、融資、預金の3課体制が多かったが、人手不足のなか店舗運営を効率化するため、新たな体制の検討が進んでいる。多いのが、営業人員を増やすため、融資担当を渉外担当に統合して「融資渉外」と「預金」の2課体制とする変更。従来は融資担当が担っていた融資関連の事務作業を預金担当の業務に再編し、「渉外」と「内勤」の2課にする信金もある。
2課体制で成否のカギになるのが、融資事務作業の効率化だ。融資渉外と預金の2課体制とする場合、融資のオペレーション作業の本部集中を並行して進めるケースが目立つ。関東地区のある信金では「今後、融資のノウハウが高い融資担当が外に出られる体制を整えていく」として、営業係と融資係の一体化と融資業務の本部集中を両輪で進めるという。
本部への集中が不十分だと、融資役席だった職員が外回りの営業活動をしながら融資業務も担うことになり、営業店の不満につながる可能性もある。
融資役席と融資係を渉外担当に統合し、預金担当の役席が融資も担当する2課体制を導入した信金では、一部で旧融資担当の業務量が増加。取り扱い案件も多く、業務が滞った店舗が出たことなどを理由に、3課体制に戻した。融資関連書類の作成などの本部集中を進めて効率化を図っていたものの、預金担当役席の融資業務への理解が不十分だったという。
「2課体制の導入は進めているが、大型店では従来の3課体制を維持している」(信金役員)など、店舗特性に応じた対応も重要になりそうだ。