JPX、調査検証委を設置 インサイダー疑い「市場の信頼損なう」
2024.10.29 18:53
日本取引所グループ(JPX)は10月29日、独立社外取締役による調査検証委員会の設置について公表した。東京証券取引所の社員がインサイダー取引規制違反の疑いを受け、独立公平な立場から調査を進める。調査報告書の公表時期は未定。
同日の定例会見で山道裕己グループCEOは「上場会社、市場関係者の皆様にご迷惑、ご心配をおかけしていることをお詫び申し上げる」と陳謝した。「資本市場の信頼を損なうものであると深刻に受け止めている」と言及した。
証券取引等監視委員会による調査開始を受けて、社外取締役4人で構成される同委員会を9月27日に設置した。原因究明のほか、社員への教育研修体制、業務プロセスや情報管理体制などの検証・評価も行う。
山道グループCEOは自ら全役職員に対して、社内規定の遵守の徹底を呼びかけるメールを送信した。再発防止に向けて、まずは社内ルールで認められている有価証券以外の取引を実施していないかを確認するための社員アンケートの実施を検討している。
また、山道グループCEOは「原因を究明し再発防止策を徹底することによって、市場からの信頼回復に努めたい」と強調。自身の責任については「現時点では何とも申し上げられない状況。ただ調査結果などに基づいて、厳粛に対処したい」と語った。
「インサイダーは公正な市場取引をゆがめるため、あってはならないこと」(三菱UFJ証券ホールディングスの山本慎二郎CFO)など、証券界からは厳しい声が寄せられている。松井証券の和里田聰社長は「今回の事案は入社して若い方による行為だったということなので、入社間もない従業員に対する研修を充実させないといけない」と指摘した。