日本再成長へリスクマネー 岩舘・都銀懇幹事(りそな銀執行役員)
2024.10.24 04:40都銀懇話会は2024年度の規制緩和要望に政府が推進する資産運用立国関連の項目などを盛り込んだ。今回は内閣府への提出時期を1カ月以上早めて9月に要望をとりまとめ、当局との丁寧な対話に時間を割く。年度幹事を務めるりそな銀行の岩舘伸樹執行役員(51)にポイントなどを聞いた。
――運営方針を。
「物価や金利の上昇、賃上げ など、さまざまなところでパラダイムシフトが起き、『失われた30年』からの脱却に向けた転換点にある。利上げによって景気が冷え込まないように、これまで以上にお客さま の事業戦略に深くコミットした提案活動の重要性が高まってくる 。日本経済全体を再成長させ、豊かな国民生活の実現に向けて、好循環に持っていきたい」
――エクイティファイナンスに関する新規項目が相次いだが、狙いは。
「資産運用立国は国民の資産形成のあり方を大きく変え、企業成長を支えるリスクマネーの円滑な供給にもつながる、極めて重要な政策だ。銀行は家計から集めた預金を企業成長につなげるメインプレーヤー。投資専門子会社やファンドを通じたスタートアップ育成と事業承継への投資が必要になる。具体的には投資専門子会社の投資対象拡充のほか、ファンド満期時に現物分配で株式取得するケースを議決権取得等制限(5%ルール)の例外にすることなどを求める
――その他の重点項目は。
「デジタル時代の顧客接点拡充に向け、銀行の営業日と時間の柔軟化を要望している。また年1回の頻度での営業時間変更などの届け出も簡素化したい」
――証券業界では銀証連携ビジネスの規制強化を求める声がある。
「ルールベースにすれば守るべき指針が明確になる一方、プリンシプルベースは時々の環境に応じて柔軟な対応がしやすい。お客様を守ることが目的でいずれの形式としても実効性確保が不可欠だ」
「銀証FW規制の緩和はサービス提供の入り口として、金融機関がお客さまの潜在的なニーズにタッチする機会を増やし、気づきを与えるうえで非常に重要な要素と考えている。管理態勢の強化、見直しを不断に行っていくことと並行して、関係者と丁寧にコミュニケーションを取りながら 、都銀懇話会としても 引き続き緩和を求めて参りたい」
――調査・研究のテーマは。
「今年度は 『事業者の経営改善・事業再生支援の高度化』をテーマとしたレポートを年内にまとめる。主に事業者の経営改善・事業再生支援を目的とした企業再生機能を担う支援機関や仕組みを取り上げる。各々の成り立ちや支援対象、特徴を整理し、銀行界のコンサルティング機能向上を後押しするうえでの企業再生支援の課題を提言していきたい」
岩舘 伸樹氏(いわだて・のぶき) 51歳。95年東北大卒、あさひ銀(現りそな銀)入行。17年7月りそな銀荻窪支店長、19年東京営業第二部長、21年経営管理部長、21年りそなHDグループ戦略部長、22年りそな銀執行役員兼りそなHD執行役、24年りそなHDグループCSuO兼務