銀行界の23年度役員報酬 6割増額、平均3%上昇 大手行が伸びけん引

2024.10.19 04:45
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全国102の銀行持ち株会社・銀行の2023年度役員報酬総額は、267億1300万円だった。増額したのは59行・社で新設銀行持ち株会社1社を除いた上昇率は平均3%。好業績や株高を背景に業績連動報酬の割合が高い大手行が伸びをけん引した。本紙が24年3月期の有価証券報告書をベースに銀行持ち株29社、銀行73行の取締役・執行役(社外役員と監査等委員を原則除く)の報酬を集計した。(金融機関別の一覧表はニッキン10月18日号参照)


1人当たり168万円増

大手行グループ(G)5社合算の報酬総額は22年度比8.1%増の67億9000万円。役員賞与・業績連動報酬と株式報酬合計が全体の半分以上を占めた。


地方銀行では同3.3%減の111億2500万円、第二地方銀行は同0.9%増の38億6700万円。地域銀は基本報酬が占める割合が高く、概算で7割程度の水準にある。固定報酬のみの方針の地域銀もある。


役員1人当たりの平均報酬額は全行・社で3339万円。22年度から168万円増加した。業態別では、大手行G5社が6009万円(191万円増)、地銀が2824万円(38万円増)、第二地銀が1953万円(46万円増)と全体的に増加した。平均額が1億円を超えたのは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG、1億3391万円)としずおかFG(1億1025万円)。


報酬が支払われた対象役員数は全体で791人(新設持ち株会社1社を除く)。22年度から18人減った。


業績連動を引き上げ

中期経営計画達成に向けて、役員のインセンティブを強化する動きが加速している。MUFGは役員報酬の方針を見直し、24年度から副社長以下の株式報酬・役員賞与の割合を引き上げた。既に高水準にある社長の同割合(最大約67%)は据え置いた。


三井住友FGも役職に応じて総報酬に占める業績連動部分の比率の目安を40~60%、株式報酬比率を25~45%に変更。三井住友トラストGも株式報酬を中心に業績連動報酬の割合を見直した。社長の場合、役員賞与・株式報酬の割合を4割程度から6割程度とした。


地域銀ではフィデアホールディングス(HD)が22年度から譲渡制限付株式報酬制度を導入。24年7月は変動報酬の割合を引き上げ、役員のインセンティブを高める。コンコルディアFGは報酬・人事委員会の議論を踏まえ、会社業績の評価から「競合他社との業績比較」の項目を削除し、各役員が設定した目標達成に集中する方針だ。


「非財務」導入広がる

地域銀で役員報酬への非財務指標の導入が広がっている。4月に新中期経営計画が始動したおきなわFGは、新たにESG(環境・社会・ガバナンス)指標を追加した。26年度までに女性管理職比率40%と30年までのカーボンニュートラル実現に向けた二酸化炭素(CO2)排出量削減を株式報酬の評価項目に盛り込んだ。


千葉興業銀行は業績連動報酬に関する指標として、サステナビリティの取り組み状況を加えた。同報酬の支給率を最大15%加算し、役職別の基準額を0~145%とした。山形銀行は業績連動報酬の算出で、コンサルティング支援件数や政策投資株式の純資産比保有割合など六つの評価項目を設けた。


大手行Gでは業績連動報酬に占める非財務指標のウエートが異なる。みずほFGは中長期インセンティブ報酬(株式報酬)に占める非財務指標の割合が40%と高く、特に社員のエンゲージメント・インクルージョンスコアを重視する。三井住友トラストGは30%、三井住友FG15%。MUFGは24年度から5%から10%に引き上げた。りそなHDは短期と中長期のインセンティブ報酬でそれぞれ活用している。


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