西京銀、農業の成長産業化支援 新興企業へ5000万出資

2024.09.24 18:47
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資本業務提携を結んだ中森代表(左)と松岡頭取(9月24日、本店)
資本業務提携を結んだ中森代表(左)と松岡頭取(9月24日、本店)

西京銀行は9月24日、農業法人の中森農産(埼玉県)と資本業務提携を結んだ。同法人が年内に増資する際に5000万円を出資。松岡健頭取は株式引き受けまで踏み込んだ理由を「山口県における農業の課題に対し、腰を据えて本気で取り組むという決意表明だ」と語った。金融機関による農業法人との資本業務提携は珍しい。中森農産へは他の金融機関からも「問い合わせがある」ことから、同様の提携が広がる可能性がある。


山口県の農業は2010年から20年までに事業者数が41%減少し1万6613事業者となった。経営者の平均年齢は71歳と全国平均67.8歳より高く、後継者不在率は77%と全国平均71%より高く切実だ。農業において事業承継の深刻さが顕著に表れている。


中森農産は、農業法人が抱える、①低所得水準②重労働③長時間労働――などの問題に対して、有機栽培による付加価値向上や自動走行農機の活用、AI(人工知能)・ビッグデータによる生産工程の最適化によって解決するソリューションを持つ。2017年設立で、営農組合・農事組合法人への出資や組合加入するスキームを活用して作付面積を300ヘクタールまで広げている農業系のスタートアップ。中森剛志代表取締役は、「生産性の課題を解決し、農業従事者の年収を1000万円にする」と目標を述べた。


同行は、山口県内の農事組合法人256社に対しコンサルティングを展開。「農業の成長産業化を目指す」(松岡頭取)。具体的には、事業の再構築や有機栽培、農業生産の向上などをアドバイスし、農地引き受けやM&A(合併・買収)などを紹介していく。


15歳から27歳までのZ世代の26.9%農業体験意向があるという実態調査(全国共済農業協同組合連合会)もあり、農業の持続的成長を新たな仕組みで促し、IターンやUターンなどによる若年層移住の受け皿としての将来ビジョンも描く。

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