地域銀、専門機関に研修要請 「企業価値担保権」活用へ
2024.09.25 04:50
地域銀行が、企業価値担保権の活用を視野に体制整備を始めた。金融庁によるリモート勉強会や外部専門機関の研修を活用し、制度の理解や実務面の課題把握に乗り出している。まずは経営陣や部長級が受講し、営業現場にも浸透を図る。制度開始は2026年春とみられており、こうした動きは今後加速しそうだ。
企業価値担保権は、無形資産を含む事業全体を担保とする制度だ。その創設を柱とする事業性融資推進法が6月に成立し、2年半以内の施行が予定されている。大手地銀トップは「有用な選択肢の一つになる」と評価したうえで、「実務的には解決すべき点が残されている。使い勝手が良くなるように、監督官庁には意見や要望を伝えていきたい」と語る。
中国地区の地方銀行は、金融庁に企業価値担保権に関する勉強会の開催を要請。法的な側面から説明を受けた。実務面については、動産評価・鑑定などを手がけるNPO法人の日本動産鑑定に研修を依頼した。経営陣や部長らが受講し、今後は営業店に制度や実務の周知を進めていく。
日本動産鑑定への研修依頼は増加傾向にある。関西みらい銀行やみなと銀行など、りそなホールディングス傘下の銀行も同様の研修を実施するほか、九州や四国の地域銀からも相談があるという。久保田清理事長は「新たな担保手法の追加は、金融機関の融資に大きな幅をもたせる」との見方を示す。
金融庁は7月に総合政策局、企画市場局、監督局を横断する「事業性融資推進プロジェクトチーム」を立ち上げた。企業価値担保権の活用が想定されるケースのほか、与信審査や期中管理のあり方など実務上の課題について、金融業界団体と議論を重ねる方針だ。
※この記事は2024/10/15にfree記事に変更しました。
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