金融庁、AI利用実態を調査 リスクや課題洗い出し
2024.09.06 04:50
金融庁は、生成人工知能(AI)を含むAIの利用実態を把握するため、近く大規模な調査を始める。預金取り扱い金融機関だけでなく、証券会社や保険会社、資金移動業者など幅広い業態が対象となる見通し。AIの導入状況や活用事例などを調べ、リスクや課題を洗い出す。調査結果は、2024年内に公表予定のAIの利活用を促すためのディスカッション・ペーパーに反映させる。
AIは、金融業界で急速に普及している。融資審査業務や社内向けFAQ、不正取引検知など、活用分野は多岐にわたる。同庁は、業務効率化や分析作業の高度化といった「ベネフィットがある」として、AIの利用に肯定的な姿勢を示す。
今回の調査は、AIの利用実態把握が目的で、モニタリングとは位置付けていない。実施方法は、個別ヒアリングかアンケートのいずれかを見込む。
調査項目は、AI導入の有無や活用分野、今後の活用方針などが想定されている。当局関係者は「(金融機関がAIを)使わないのであれば、何が懸念となっているのか確かめたい」と話す。特に生成AIは、現時点では活用事例が限定的なため、先進的な取り組みを把握する狙いもあるようだ。
同庁には、利用者保護の観点で問題意識もある。例えば、生成AIは、設問次第で学習データに含まれた顧客情報などが流出するリスクがあり、前出の関係者は、「顧客に迷惑をかけたり、誤った情報を与えたりしないことが重要」と説く。
今回、AIに関するリスク管理態勢の構築状況は調査対象に含めない方向。ただ、同庁はリスク管理態勢について、将来的なモニタリング対象とする可能性を示唆する。調査結果を、対象とすべきかどうか検討するうえでの材料とする見込み。
なお、24事務年度(24年7月~25年6月)の金融行政方針では、同庁自身もリスク分析や金融機関へのモニタリングなどへ、AIの利活用を進めていく考えを示している。
※この記事は2024/10/11にfree記事に変更しました。
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