(更新2)秋田銀・岩手銀、包括アライアンスで合意 スピード感重視
2021.10.27 17:04
秋田銀行と岩手銀行は10月27日、包括業務提携「秋田・岩手アライアンス」を締結することに合意した。伝統的銀行業務以外の新事業での協業や、システム・バック業務の共同化などを検討する。
両行に青森銀行を加えた北東北3行は2000年以降、ATMの相互開放や商談会の開催などで連携を深めてきた。ただ青森銀は21年5月、みちのく銀行との経営統合を目指すことを発表。秋田銀と岩手銀は「アライアンス効果を出すには、2行のほうがスピード感をもって取り組める。(北東北3行の)連携自体は変わらない」(秋田銀の新谷明弘頭取)として、互いの経営基盤・経営資源を最大限活用する方法としてアライアンスを決めた。
3月末預金は秋田銀が2兆9080億円、岩手銀が3兆2057億円で、ともに県内トップ。隣県に位置するが、店舗の重複など競合は少ない。岩手銀の田口幸雄頭取は「秋田銀とは経営環境の認識を共有するほか、地域が抱える課題も近しい。互いの知見を融合させ、連携を発展させていく」と語った。
今後、両行では頭取、担当役員、部長級の3階層ごとに検討組織を設けて具体的な取り組み内容について詰めていく考え。将来的な経営統合については、両行の頭取が「あくまでも合併は手段の一つ。現時点ではアライアンスを選んだ」と口を揃えた。
SBI証券の鮫島豊喜シニアアナリストは、両行の協業について「取引先にとって事業承継に並ぶ課題は販路探し。コンサルティングは2行でやる方が紹介先が増えて期待できる」と話す。システムやバック業務の共同化は遠隔地同士の地銀で成功例があり、「実現できればアライアンスの意義があったと言える」との見方を示した。
地域銀行では、千葉銀行と横浜銀行、静岡銀行と山梨中央銀行など経営統合せずに、アライアンスで経営効率化や営業力強化を目指す動きが選択肢の一つとなっている。両行がどこまで連携効果を発揮できるかが注目される。
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