地域銀、業績予想の上方修正相次ぐ 想定より与信費用減
2021.10.24 04:40
2021年9月期の業績予想を上方修正する地域銀行が相次いでいる。10月22日までに地方銀行6行、第二地方銀行2行の計8行が公表した。一方で、同日時点で下方修正を発表した地域銀はゼロ。当初予想よりも与信費用が減少していることや、有価証券運用の損益改善が主因だ。こうした追い風は他の地域銀にも共通することから、今後も各行が決算発表を行う11月上旬にかけて上方修正の発表が続きそうだ。
10月22日は岩手銀行、八十二銀行、山陰合同銀行、愛媛銀行の4行が上方修正を行った。それ以前に公表したのは北国銀行の親会社の北国フィナンシャルホールディングス、青森銀行、みちのく銀行、中京銀行(発表日順)。
8行中4行が修正理由として与信費用の抑制をあげた。東京商工リサーチの調べでは、21年度上期の全国倒産件数は過去50年で最少となった。新型コロナウイルス対策として、国や自治体、金融機関による手厚い支援策が奏功しているためだ。中京銀行は将来の倒産増に備え、貸倒引当金の計上に将来予測モデル(フォワードルッキング手法)を導入し、引当金を積み増したが、それらのコスト増を他の増益要因が上回った。
有価証券運用の損益改善は、3行が修正理由にあげた。21年3月末の日経平均株価は2万9452円だったが、7~8月にかけて2万7000円台に下落するなど軟調な局面が続いた。ただ、菅首相が退陣表明した9月3日以降は上昇に転じ、9月は月間で1363円(4.85%)上昇。9月30日の終値は2万9452円で着地し、わずかながら3月末株価を上回った。
上場地域銀の決算発表は、10月29日の北国銀、八十二銀から始まり、11月12日に集中日を迎える。
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