【本紙独自調査】銀行界、9割超がSNS活用 ユーチューブ最多89行 インスタ急増

2024.03.08 04:40
広報・宣伝 若年層取引 スマホ
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

銀行界の9割超がSNS(交流サイト)を活用し、ユーチューブの利用が89行と最も多いことが本紙の調査で判明した。情報を多く盛り込める動画の特性や、編集ソフトを使うことで手軽に作成できることが要因の一つ。ラインやX(旧ツイッター)など複数のSNSを組み合わせて、情報発信する姿も浮き彫りになった。SNSは参入ハードルが低い一方、競合が多い。発信内容の質と更新頻度の量が求められている。


調査対象は、都市銀行・信託銀行が9行、地方銀行が62行、第二地方銀行が37行の計108行。SNSはユーチューブ、ライン、X、フェイスブック、インスタグラム、ティックトックを想定。各行のホームページなどをもとに、公式アカウント(採用専用を除く)と確認できたものを集計した。調査期間は2024年2月19~26日。詳報は『ニッキンレポート』3月4日号に掲載。


直近ではインスタグラム急増

全108行中101行がSNSの公式アカウントを開設している。種類はユーチューブが最も多く、ラインの73行、Xの47行が続いた。ただ、21年2月以降の直近3年間では、インスタグラムが25行で最も多かった。


Z世代など若年層は、ヤフーやグーグルなどの検索エンジンよりも、SNSのハッシュタグ(検索目印)を使って必要な情報を得る傾向がある。例えば、インスタグラムに「東京グルメ」というハッシュタグを入力する。表示される膨大な写真の中から、自らのイメージに近い内容を選ぶ。こうした「SNS検索」は、タイムリーな情報を得られるメリットがある。


若年層の文化や行動に詳しい専門家は「正確性よりも即時的に『なんとなく分かる情報』を求めている」との見方を示す。情報の正確性については「多くの人の目に触れるなかで、誰かが訂正してくれるケースもある」と話す。


「2種類」運用が30行

各銀行は、異なるSNSを組み合わせている。併用数をみると、「2種類」が30行と最も多く、次いで「3種類」の27行、「4種類」の20行が続く。調査対象とした6種類のSNSで、すべてのアカウントを保有するのは千葉興業銀行だけだった。


メリットとリスクの見合い

複数のSNSを利用する、ある地銀は、ユーチューブで自行CMや取引先企業を紹介。インスタグラムでは少額投資非課税制度(NISA)や個人ローンなど、金融リテラシーの向上に資する内容を発信している。ラインやXは、こうしたSNSへ誘導する役割を担っている。同行の関係者は「若年層を中心に来店する人が減っている。(SNSは)銀行が顧客とコミュニケーション図る手段として有効」との見方を示す。


一方、SNSの活用に消極的な銀行もある。「効果測定が難しく、行内のリソースを投入できない」(関係者)ことが理由だ。SNSは炎上リスクをはらむだけに、メリットとの見合いで積極的に活用していないという。


ある銀行ではXを開設後、フォロワー数を急激に伸ばした。「中(なか)の人」と呼ばれる運用者の書き込む内容が「銀行員らしくない、くだけたもの」(関係筋)だったことが理由。共感を呼ぶ書き込みもあり、人気を集めた。ただ、ある時を境に書き込みが途絶えた。要因は明らかではないが、銀行本体の不祥事が世間で注目を集めた時期と重なる。


SNSは便利なツールである半面、リスクもある。運用の試行錯誤は当面続きそうだ。


すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連キーワード

広報・宣伝 若年層取引 スマホ

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)