「更新」山口FG、 吉村取締役に辞任勧告 企業風土改革進める
2021.10.14 20:26
山口フィナンシャルグループ(FG)は10月14日に開いた臨時取締役会で、吉村猛取締役(前会長グループCEO)が同社の取締役としての資質を有さないとして辞任勧告を決議した。
同FGの社内調査本部は同日、外部の法律事務所の助言をもとにまとめた調査報告書を公表。このなかで、吉村氏が自己の権限を逸脱して「新たな銀行設立にかかる案件」を進めていた事実や、代表取締役としての適格性に疑義を生じさせる言動などを認定した。
この報告書を踏まえて、同グループの行動憲章の理念に反することに加え、取締役会の監督機能を棄損(きそん)したことなどから辞任勧告を決議した。
吉村氏は、十分な社内合意を得ないまま進めたことを6月25日の取締役会で指摘され、会長グループCEOを事実上解任。代表権のない取締役となっていた。
10月14日17時から開いた記者会見で、山口FGの椋梨敬介社長グループCEOは「吉村氏は、新銀行設立の進め方、手続きで権限逸脱など、明らかにガバナンスから逸脱した対応を行っていた」と解任勧告の理由を説明。さらに、「吉村氏は、取締役会で辞任発言を繰り返しており、職責の放棄にもあたる」とした。
社内調査本部の本部長を務めた福田進・取締役監査等委員は、「ガバナンス、経営管理体制についてゼロベースでの再検証が必要。(取締役の)資質を含め、経営体制を協議・検討する必要がある」と、持ち株会社取締役の資質について否定的な見解を示した。
今後、年内に臨時株主総会を開き、取締役の選任・解任議案を諮る。
信頼回復に向けて、椋梨社長グループCEOは「ガバナンス、企業風土の改善について重点的に取り組んでいく」と強調。2022年度からスタートする中期経営計画に改革案を盛り込み、組織的に具現化していく考え。報告書で指摘された情報と権限の集中を防ぐため、CEO室は10月1日に廃止した。