信金界 日本フルハップと連携、労災共済4月から窓販
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「信金界 日本フルハップと連携、労災共済4月から窓販」ニュースの要約
・信金業界は4月1日から、中小企業向け共済を信金が代理店として窓口販売できる体制を整備
・厚労省の認可を受けた「日本中小企業福祉事業財団」(日本フルハップ)の共済を募集するスキームを構築
・全信協と日本フルハップの協力で、信金は共済・災害防止・福利厚生の提供が可能となり、ビジネスチャンス拡大の見込み
・共済対象は家族経営や従業者10人以下の事業者で、建設・製造・飲食業など災害防止の必要が高い業種が中心
・日本フルハップは近畿以西で信金口座を利用した共済普及を行っており、会員数は20万1491事業者、加入者数は43万人
信用金庫業界は4月1日から、信金が代理店となって中小企業向け共済を窓口販売できる体制を整える。厚生労働省から共済団体の認可を取得した公益財団法人「日本中小企業福祉事業財団」(日本フルハップ、大阪市)の共済を募集できるスキームを構築する。4月の開始に合わせて、西日本地区信金の多くが同社と代理店契約を締結する。東日本地区の一部信金も結ぶもよう。
2023年6月に「中小事業主が行う事業に従事する者等の労働災害等に係る共済事業に関する法律(中小労災共済法)」が施行。同法に基づき、中小企業が対象の労災防止事業を営み、労災などを補償するための共済を取り扱う団体に対して、金融機関への販売委託が認められるようになった。日本フルハップと同社が取り扱う共済商品は、窓販可能な共済の第一号として承認された。
全国信用金庫協会と日本フルハップによる今回の体制構築により、各信金は取引先に共済・災害防止・福利厚生の3事業の提供が可能となる。事業者支援のツールとして活用できるほか、代理店手数料も得られるため、ビジネスチャンス拡大につながる可能性がある。
共済加入対象となる事業者は、家族経営や従業者数10人以下など福利厚生が手薄になりがちな先を想定。主な対象業種は、労働環境を整えることで災害を防止しやすい建設や製造・運輸業に加え、業務中のケガの発生率が高い飲食・木材加工業などを見込んでいる。月会費は一律で1人1500円、振替口座は信金に限る。
日本フルハップはこれまで、近畿以西の信金の口座を会費の振替口座として設定し、自前の営業部隊で共済の普及を図ってきた。22年度末の会員数は20万1491事業者、加入者数は43万人に上る。
ニッキンオンライン編集デスクの目
日本フルハップ とは、中小企業の健全な発展と福祉の増進に貢献する公益財団法人である。信金の業務範囲拡大は、地域金融機関を取り巻く環境変化への対応として捉えていいだろう。
旧来の信金は預貸業務を中心とした伝統的な金融仲介機能で安定的な収益を確保してきた。しかし、長期間にわたる金利の低下と地域経済の停滞により、新たな収益源の開拓が課題となっている。
中小企業向け共済の窓口販売は、信金の本来的な業務と親和性が高い。1951 年の信金法制定時から、信金は中小企業専門金融機関として位置づけられてきた。当初は融資を通じた資金供給が主たる支援手段であったが、近年では経営相談や事業承継支援など、非金融サービスの重要性も増している。
日本フルハップの共済商品が第一号として承認された背景には、従業員数の少ない企業における労災対策の課題がある。労災保険は企業規模にかかわらず、すべての事業者に適用されるが、近年では労働安全衛生に対する社会的要請が高まり、小規模事業所でも充実した保障と労働安全衛生管理が求められている。
共済の窓販の代理店手数料は、信金の新たな収益源としても期待できるだろう。ただし、職員の商品知識向上や研修体制の整備は不可欠となる。
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