マーケット・トレンド(債券) 米国に連動して利回りが低下
2023.11.22 04:25
10月31日の日銀金融政策決定会合では、長期金利の上限が事実上引き上げられた形となったが、その後、日本の10年債利回りは低下傾向にある。
一時5.0%をつけた米国10年債利回りが低下したことの影響が大きい。他方、我が国の賃上げの動きの広がりなどを背景に、日銀が金融緩和政策の転換に向かうとの声も依然多い。
米国債利回り低下の傍らで日本の金利だけが上がってもよさそうだが、むしろ、日本の長期債利回りの低下ペースの方が速く見えるような状況でもある。
そもそも7月以降の長短金利操作修正は、米国債利回り上昇が促す円安によって我が国のインフレ期待が高まりやすいところ、インフレ期待(ブレークイーブン・インフレ率)が上昇した分だけ名目長期金利が上がることができるよう、バッファーを作った側面が強い。
賃上げと物価上昇の好循環が確認されれば出口政策の進展も見えてくるが、現時点では好循環には至っていないというのが日銀の認識であり、結局、日本の10年債利回りが上がるも下がるも米国次第といったところだ。
米国債利回りが更に低下すれば、日本の10年債利回りも更に低下する可能性が高かろう。
SMBC日興証券金融経済調査部 チーフ為替・外債ストラテジスト 野地 慎氏
関連記事
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 中堅の外資生保、乗合代理店からの要求に苦慮 変額保険手数料で
- 八十二銀、AIモデル開発50種に 投信販売モニタリングも
- 広島銀、金利再来でALM改革 各部門の収益責任 明確に
- 多摩信金、住宅ローン168億円増 業者紹介案件が4割強
- 金融庁・警察庁、URL貼付禁止案を軟化 銀行界から反発受け 不正アクセス防止で
- カムチャツカ半島付近でM8.7の地震 一部金融機関の店舗で臨時休業
- 金融庁、障害対応の強化要求 クラウド利用拡大で
- 地域金融機関、半数の250機関が預金減 金利戻りパイ奪い合い
- あおぞら銀の中野さん、金融IT検定で最高点 専門部門との対話円滑に
- 信金界、「ことら送金」240信金に拡大 周知姿勢で温度差も