マーケット・トレンド(債券) 日銀が政策を微修正
2023.11.08 04:25
10月31日の日銀金融政策決定会合では「長期金利の上限は1.0%を目途」とされ、これまで厳格に1%とされてきた10年債利回りの上限が事実上引き上げられた。
米国由来のドル高円安によって、我が国で輸入インフレへの期待が強まり、これが長期金利に強い上昇圧力を加えていたのだが、米国10年債利回りが一時5%まで上昇するなか、我が国の10年債利回りが1%を上回る公算が大きくなったため、日銀も苦渋の決断を行った格好だ。
植田日銀総裁も米国長期金利の大幅な上昇を見誤った旨の発言を行ったが、他方、賃金と物価がともに上昇する好循環に至るまでにまだ見極めが必要であることも示唆している。
長期金利の上昇を1%程度で抑えるような金融緩和政策を続けながら好循環を後押しするとの日銀のスタンスの大勢に変更はないと考えてよかろう。
米国では労働需給が緩み始め、家計の過剰貯蓄が費消され終えたとの思惑から物価の伸び鈍化を予想する声が増えてきた。
一時5%まで上昇した米国10年債利回りも4.5%付近まで下げてきているが、我が国の10年債利回りも1%超えを試すのではなく、緩やかに低下する可能性の方が高そうだ。
SMBC日興証券金融経済調査部 チーフ為替・外債ストラテジスト 野地 慎氏
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