日銀金沢支店、景気判断引き上げ 物価上昇も消費回復
2023.10.12 18:34
日本銀行金沢支店は10月12日、北陸地区の10月の金融経済月報を公表した。景気の全体判断は「緩やかに回復している」とし、10カ月ぶりに引き上げた。
個別項目では、「個人消費」は「物価上昇の影響を受けつつも、緩やかに回復している」と6カ月ぶりに引き上げ。繰越(ペントアップ)需要やインバウンド需要などの影響があった。百貨店では富裕層や訪日客に対する宝飾品や時計、ラグジュアリーブランドの売れ行きが好調。スーパーでは消費者の節約志向に対応したプライベートブランドの商品が販売を伸ばした。
「雇用・所得」も1年11カ月ぶりに判断を引き上げ、「着実に持ち直している」とした。7月の雇用者所得はプラス3.1と「大きめのプラスとなった」(営業課)。要因については、今年の賃上げの影響で所定内給与(残業代などの所定外給与を除いたもの)が増加した点をあげた。また、北陸3県の最低賃金の改定も所得の増加に寄与したとみている。その他の項目は判断を据え置いた。
吉濱久悦支店長は「需要と供給にバラツキはあるものの、おおむねコロナ前の水準を回復して、なおも改善傾向を続けている」と総括した。
先行きについては「年末・年度末にかけて、本格的な観光シーズンの到来に加え、北陸新幹線の敦賀延伸に向けた様々な取り組み、(10月14日からの)国民文化祭の開催など、新たな需要の回復が見込まれることもあり、景気回復の継続が期待される」とした。