日銀仙台支店、コロナ5類移行もDIは横ばい 東北地区6月短観
2023.07.03 19:25
日本銀行仙台支店は7月3日、東北地区6県の「企業短期経済観測調査(2023年6月)」(短観)を発表した。全産業の業況判断(DI)はマイナス1ポイントで、前回23年3月調査から横ばい。新型コロナウイルス感染症が5類へ移行し、経済活動に進ちょくがあったものの、仕入価格の高騰などによる逆風の影響を受けたとみられる。
製造業全体ではマイナス12ポイントで前回から横ばい。内訳は、金属製品、食料品など5業種で改善または横ばい、化学、鉄鋼、はん用機械など9業種で悪化した。エネルギー価格の高騰や物価高を受けた価格転嫁の対応で差が現れた。
非製造業全体ではプラス5ポイント(23年3月比1ポイント増)で、8業種が改善、6業種で悪化した。宿泊・飲食サービス業はプラス18ポイント(同15ポイント増)で、サービス需要の回復が顕著にみられた。卸・小売業はプラス13ポイント(同5ポイント増)だが、「仕入れ値の増加による収益減も懸念される」(岡山和裕支店長)としている。
先行きは、全産業でマイナス2ポイント、製造業でマイナス8ポイント、非製造業でプラス1ポイントとした。岡山支店長は「コストアップを受けた収益悪化が今後の賃上げにどう影響するかが注目点。人手不足の中で、適正な賃上げが進むのか、価格転嫁が進むのかも注意深く見ていきたい」と話した。