かっこ、独自技術で「なりすまし」検知 福岡銀が非対面融資に導入

2023.06.01 04:43
貸出・ローン セキュリティー
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なりすましを防止し、取り引きの安全性を高める(かっこ提供)
なりすましを防止し、取り引きの安全性を高める(かっこ提供)

個人情報漏えい対策ソフトウェアを提供する「かっこ」は、デジタル接点での「なりすまし防止」で存在感を高めている。不正アクセス検知サービス「O‐MOTION(オーモーション)」は独自技術を駆使して通信元のデバイスを特定し、怪しい取引を検知する。直近では、福岡銀行が5月に事業者向けオンライン完結融資の不正申込対策で導入し、大手銀行やネット証券などでも実績がある。


福岡銀は2022年11月から試行し、導入を決めた。全国から申し込める無担保・無保証融資「フィンディ」の不正対策に活用する。コンサルティング業者を名乗り、「高額な手数料と引き換えに融資を受けられる」とだまされる顧客が出たためだ。独自にIPアドレスを蓄積し、不正を見つけ出す手法を取り入れたが、チェック項目の追加など課題が残り、同サービスを導入した。


導入後はIPアドレス以外の情報を分析することで認知精度が向上。モニタリング業務も効率化でき、月十数時間の削減効果を実感している。同行営業統括部は「(インターネットバンキングなどに)横展開する可能性はある」とし、他のデジタルチャネルでもセキュリティー対策の選択肢に入れる。


同サービスはID・パスワードの窃取や不正な複数アカウントの利用のほか、IDとパスワードの組み合わせを大量に入力する「Botアタック」にも対応する。


独自の特許技術を使い、クッキー(ウェブサイトが一時的にユーザーデータを保存する仕組み)や画面サイズ、言語設定など約100項目からアクセスしてきたデバイスを特定できる。普段と異なる端末や、同じコンピューターから複数アカウントでログインされると、最短1時間ごとにアラートを発信する。携帯電話の加入者情報が記録されるSIMカードを不正取得する「SIMスワップ」も、「端末の入れ替えであれば検知できる」という。


同サービスはウェブサイトページのソースコードに、処理内容のコードを組み込めば利用できる。利用者は認証項目の入力を行う必要がなく、負担軽減を見込める。


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