野村証券とQUICK、企業負担でレポート発行へ スポンサード・リサーチ参入
2023.05.15 15:09
野村証券と野村インベスター・リレーションズは5月15日、上場企業の費用負担でレポートを発行する「スポンサード・リサーチ事業」について、QUICK社と業務提携契約を締結した。対象企業の事業内容や強み・弱みの分析、中長期の事業計画とその進ちょく状況などに焦点を当て、投資先選定の初期段階に用いられるレポートを発行する。初回は9月頃の発行を見込む。
スポンサード・リサーチ事業は、企業が調査会社などへ委託し投資家向けレポートを作成・発信するもの。証券会社のアナリストレポートが主に大型銘柄を中心に投資判断を提供するために書かれるのに対し、企業が投資家に興味をもってもらう目的で、予め事業や成長戦略を発信する資料。現在、国内の上場約3800社のうち約600社が発行、「半数余りはアナリストレポートと併用されている」(冨永康仁コンテンツ・カンパニー企画部長)という。
レポートはQUICKの「企業価値研究所」に所属するアナリストが専任で執筆し、四半期ごとに内容を更新する。野村証券は顧客企業を開拓し、内外投資家へ案内する。機関投資家向けレポートは日英語で作成、会員情報サイトや情報ベンダー経由で配信する。また野村証券各店を通じて個人向けの簡約版も提供する。
現在、国内企業でアナリストレポートが発行されているのは約1600銘柄。「魅力がありながら埋もれている中小型銘柄が多数ある」(坂本誠太QUICK常務執行役員)という。こうした企業の情報発信を後押し、日本株市場全体の底上げに貢献する。