FRB、金融不安再燃も0.25%利上げ 次回以降の“打ち止め“示唆
2023.05.04 08:37
米連邦準備制度理事会(FRB)は5月2、3日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利のフェデラル・ファンド・レートのレンジを25ベーシス・ポイント(bp)引き上げ、5~5.25%とした。利上げは2022年3月会合から10回連続となり、次会合(6月)以降の利上げ打ち止めも示唆した。
米地方銀行「ファースト・リパブリック・バンク」の経営破綻により、金融不安が再燃するなかで迎えたFOMC。ジェローム・パウエル議長は会見で「インフレは22年半ばから軟化してきてはいるものの、2%に戻るにはまだ時間がかかる」と、今回も利上げに踏み切った理由を説明した。直近(3月)の米消費者物価指数をみても、変動の大きい食品とエネルギーを除いた「コア指数」が前年同月比4.6%と高止まりしている。
市場が特に注目していたのは、22年3月会合以降、継続してきた利上げについて「〝打ち止め〟に関するメッセージが発せられるかどうか」だった。FOMC後の声明文では、委員会の姿勢として前回(3月)まで明記されていた「さらに追加的な引き締めが適当だと見ている」との文言が削除された。
ただ、パウエル議長は「インフレ鎮静化に時間がかかるという予想が正しければ、利下げはしないだろう」と政策金利の転向観測については釘を刺した。
JPモルガン・チェース銀によるファースト・リパブリック銀の買収については、「例外的なケースだが、結果としては良かったと思う」との見解を示した。
米経済は、「高金利で住宅市場は弱く、成長性の鈍化により設備投資も軟調。ただ、労働市場はとてもタイトだ」との認識。「シリコンバレー」から続く銀行破綻により金融機関の融資態度の厳格化が進むことも、経済活動への重しとなると見ている。
FOMC結果の公表・議長会見を受け、3日のニューヨークダウ工業株30種平均は、前日比270.29ドルドル安の3万3414.24ドルで引けた。
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