大手生保、保険金請求をデジタル化 第一生命は3割に

2023.04.19 04:43
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                        第一生命のスマホ入力画面

大手生命保険会社で、保険金請求のデジタル化が進んでいる。従来からウェブサイトなどの活用を推進していたが、コロナ禍で一気に広がった。


第一生命保険は2020年4月からウェブサイトを通したスマートフォン請求、21年3月からは営業職員端末からの請求を始めた。23年2月末にはこれらの請求割合が全体の3割近くに上昇。業務に欠かせない存在になっている。


住友生命保険は、顧客がスマホなどで自分の診療明細書を撮影しアップロードすることで、請求の可否を自動判定するAI‐OCRを22年1月に導入。従来以上に速い給付金支払いにつながっており、第三者機関のJ.D.パワーが3月に公表した「23年生命保険金請求対応満足度調査」で1位となり、そのうち「保険金支払ファクター」でも最高評価を受けた。


各社でデジタル化が進んだのは、コロナ禍で膨大な保険金請求が発生したことが大きな要因だ。生命保険協会によると、業界全体の2月の支払件数は約24万件に減ったものの、22年9月には約198万件の支払いがあり、効率的な処理を迫られた。


一方、請求が落ち着きつつある直近では、各社とも支払い対応を「有事」から「平時」に戻しつつある。日本生命保険は保険金支払いの部署を通常の2倍超の約400人にしていたが、3月末に約180人に戻した。第一生命もピーク時の約200人を4月以降は約50人にする。


デジタル化はさらに加速する見込みだ。日本生命は現在インターネット請求の対象を、病気を原因とする入院・手術給付金だけに限っているが、死亡保険金やがん給付金、先進医療給付金を含む10種類を新たに加えることを検討している。3月には、請求手続きを受け付けたことを契約者に通知するリプライメールを実装した。明治安田生命は23年度から、マイナンバーカードの有効情報などを用いた保険金の請求案内サービスを始めた。死亡情報を検知して保険金請求手続きを確実・迅速に案内し、請求漏れを減らすことが狙いだ。

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