みずほ証券に注意 IPO価格設定で 公取
2023.04.13 15:53
公正取引委員会は4月13日、新たに上場する企業の株式公開(IPO)価格設定で優越的地位の乱用を働いた可能性があるとして、みずほ証券を注意した。
公取によると、2020年6月~21年5月の東京証券取引所へのIPOで同証券が主幹事を務めた21件のうち、2件で問題が見られた。1件は、IPOする企業が他の証券会社から受けたセカンドオピニオンを踏まえて主張した価格に関する説明を十分に踏まえず、同証券が決めた価格を受け入れるよう要請したもの。
もう1件は、同証券が想定する価格よりも高い評価を出す機関投資家がいたにもかかわらず、その機関投資家が「想定価格の受け入れは可能」と回答した事実だけを根拠に価格の妥当性を判断し、IPO企業に受け入れを求めたもの。いずれの企業も公開価格の2倍以上の初値が付いた。
こうした行為は独占禁止法に触れる恐れがある。だが、同証券は2件の事例で対象企業に価格の根拠を具体的に説明したうえで価格を決めていた。また、同証券は21年3月から社内のIPOに関する実務マニュアルを見直し、新規上場企業の納得を得らえる対話を進めるための留意事項を追記するなど、改善に取り組んでいた。このため、公取は明確な違反行為としては認めず、注意にとどめた。
同証券は、「発行体の適切な資金調達機会の確保、投資家保護、市場の健全かつ持続的な発展のバランスを取った合理的かつ適正な公開価格設定プロセスとなるよう、努めてまいります」とコメントを出した。