大手生損保、コロナの「みなし入院」給付金を終了
2023.04.12 19:07
第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険は4月12日、新型コロナウイルス感染者の「みなし入院」による入院給付金の支払いを5月8日から廃止すると発表した。日本生命保険とかんぽ生命保険は4月13日に、損害保険各社も近く発表する見通し。業界団体の保険金を扱う部会が方針をとりまとめたもよう。政府が新型コロナの分類を、インフルエンザ相当の「五類感染症」に変更することを受けたもの。実際に入院した場合は従来通り支払う。
新型コロナに感染して死亡した際の取り扱いは各社で判断が分かれた。これまではは、各社とも新型コロナを「災害」とみなし、通常の死亡保険金に加えて災害で死亡した場合の保険金を特例で支払ってきた。第一生命と住友生命は個人保険・財形保険で、災害割増保険金や災害死亡保険金を支払い対象外にする。明治安田生命は個人保険・団体保険の場合には災害死亡保険金を支払うが、財形保険を対象外にした。
生損保各社は、2020年4月の金融庁による要請を受け、保険約款上では支払いの対象外だった、自宅や宿泊施設で療養するみなし入院患者に対して入院給付金の支払いを始めた。社会的意義を優先させた措置だったが、入院給付金の支払い額が増加。22年9月には単月で支払った保険金が約1671億円、同10月も約1628億円にのぼった。入金給付金全体に占めるみなし入院の割合は9割を超えた。
22年9月26日からは、みなし入院の対象者を重症化リスクのある65歳以上や妊婦、入院が必要な患者などに限定。保険金の月間支払額は、同11月に約1026億円、12月に約690億円と減少した。
なかにはモラルリスクが疑われるケースもあった。従来は接点のなかった顧客が入院給付金を得られる保険をピンポイントで指定して加入を試みたり、新生児を含む家族全員が加入を希望する例などもあり、謝絶に至ることもあったという。
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