西日本シティ銀、PIF活用し取引先支援 私募債・融資の2メニューで
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西日本シティ銀行は、私募債と融資による「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)」を活用した取引先支援に取り組んでいる。2022年度下期に取り扱いを開始以降、23年3月末までに25件の私募債を受託。融資は8先に対して実行した。
私募債「ミライへの路」は、企業の雇用に関するインパクト創出に特定したPIFで募集総額は30億円。同行と福岡県社会保険労務士会が発行企業の働き方改革への取り組みに対するKPIを策定段階から支援する。
第一号案件として、22年9月にダイニチ(福岡市南区)が発行した5000万円分の受託以降、23年3月末までに25件・17億円まで拡大した。3月29日に生田川通商(福岡県田川郡)から5000万円を引き受けたケースでは、働き方改革の取り組み目標を、①女性社員を3年間で3人以上採用②20代から40代社員を3年間で5人以上採用③年次有給休暇の平均取得日数を維持――の3項目とした。
一方、融資では22年12月に食料品製造などを手掛けるエムスタイルジャパン(福岡市中央区)に1億円の第一号案件を実行。3月31日には佐賀県内で初めて中山運輸(佐賀県三養基郡)に対し1億円を実行。「28年までに70台程度を低燃費車両・低公害車両の新車に切り替え、低公害車比率を90%とする」など環境、社会、経済各面で計8項目のKPIを設定した。3月末実績は8件・9億円となった。
PIF関連の専担部署は法人ソリューション部。私募債、融資のいずれも3人の担当者を配置。営業店が取引先に対しソリューションメニューとして提供する過程で同行訪問し、最終的に案件化につなげる。融資担当者は今後、増員を予定している。
法人ソリューション部によると現在、私募債は5件程度の相談に対応中で「5月中に2~3件を発行する方向で準備を進めている」ほか、融資案件では「実行に向けて2件の組成に取り組んでいる」という。