【インサイト】ABBYYジャパン 前田まりこ代表取締役社長
2023.04.07 10:20
ABBYY(アビー)ジャパンは、AI‐OCR(光学文字認識)製品や業務可視化、eKYC(オンライン本人確認)ソリューションを金融機関向けに展開する。精度の高いOCR技術が大手行などで採用されおり、紙の使用が多い金融業界のデジタル化支援に注力する。今後の事業戦略を前田まりこ代表取締役社長(46)に聞いた。
――現在の製品展開は。
「AI‐OCRを用いた文書処理製品や、業務可視化ツール『Timeline(タイムライン)』を主力に提供している。2022年10月にeKYCソリューション『Proof of Identity(プルーフオブアイデンティティー)』を追加した。DX(デジタルトランスフォーメーション)実現に向け、デジタル化に必要な製品をそろえている」
――主力製品の特徴は。
「OCR技術は文字認識精度の高さに加え、約200種類の言語に対応しており、金融や貿易の分野で利用が多い。読み取る項目数ではなく、処理する紙の枚数で料金設定しているため、小規模な企業でも利用しやすいことが評価されている。『タイムライン』は、システムなどの利用状況を分析し、負荷がある部門を可視化することで、改善点を発見する」
――金融機関での活用は。
「OCR製品は大手行の窓口業務での文書処理などで採用されている。第一生命保険では、約700種類ある帳票類の読み取りから処理の振り分けまでの自動化で利用中だ。事務作業の削減と時間短縮に貢献している。コンプラ対策として、eKYC製品の提供も開始した。OCR技術を活用し、身分証の確認から顔照合までを正確に処理でき、口座開設といった窓口手続きを迅速かつ安全に実行する」
――今後の戦略について。
「パートナー企業との連携に加え、弊社の担当者が直接課題に対応することも可能だ。金融業界は紙の使用がまだ多く、DXの始発点として、デジタル化から始めていくことが重要だ」
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 静岡銀、桃鉄金融ゲーム普及へ 地域課題と投資学ぶ
- 金融庁、接触頻度を調査 「ゼロゼロ融資のみ」の取引先対象に
- 野村証券調布支店、課題解決起点で収入倍増 相続・不動産活用切り口に
- 3メガ銀、女性管理職3割近づく 三菱UFJ銀29.2%
- 地域銀・信金、内部の「再生人材」育成 外部研修で支援手法学ぶ
- みずほ信託銀、銀座に新たなランドマーク 地権者のビル開発支援
- 金融庁、監督・検査体制を一体化 総括審議官がモニタリング指揮
- 野村AM、地域銀の退職者助言を支援 〝60代だけ〟新部署が始動
- 阿南信金、手束理事が新理事長に 30年ぶりのトップ交代
- 千葉銀・千葉興業銀、「経営統合を含め対話継続中」 一部報道でコメント