全銀協、「フォールバック条項」参考例 TIBOR停止に備え

2023.03.31 04:50
全銀協
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全国銀行協会は3月30日、全銀協TIBOR(東京銀行間取引金利)を参照する相対貸出の「フォールバック条項※ことば参照」の参考例(サンプル)を公表した。同指標が恒久的に停止した場合の後継金利などを金融機関と企業の間で事前に定めておいてもらい、混乱を未然に防ぐのが狙い。「日本円」と「ユーロ円」の2種類のうち、ユーロ円TIBORは2024年12月末の恒久的な公表停止が検討されている。今後、金融機関は参考例を活用し、参照する融資取引に関して早期に同条項を導入するよう取引先に働きかけていく。


参考例には、運営機関が3月中旬に公表したフォールバックに関する市中協議結果を反映。金融庁も「全銀協TIBOR参照契約へのフォールバック条項導入に向けた取り組みが進められることを期待するとともに、必要な後押しをしていく」と表明していた。


全銀協TIBOR運営機関によると、21年12月末時点でユーロ円TIBORを参照する貸出などの運用契約は全2725件の約3.8兆円(グラフ)。そのうち同指標の廃止が想定されている24年12月末を超えて満期が到来する契約が1405件の約1.6兆円あった。残高は主要行、件数は地域銀がそれぞれ多く、フォールバック条項を早期に導入する必要がある。



一方、同時点の日本円TIBORを参照する運用は120.3兆円、29万1128件とユーロ円より多い。日本円TIBORは当面、廃止予定もないため、まずは今後の新規契約で同条項を導入するように促していくことになる。


参考例は、森・濱田松本法律事務所の監修を受けて作成。日本円とユーロ円のTIBORについて、それぞれ「ハードワイヤードアプローチ」と「修正アプローチ」の2種類の参考例に加え、両アプローチの内容を説明する解説も公表した。


個別の案件で利用される同条項は、金融機関と企業の間で十分協議し、両者合意のうえで設けられる必要がある。全銀協は「今回の参考例は合意形成のプロセスの一助となるように、あくまでもサンプルとして作成した」と説明する。


◆ことば◆「フォールバック条項」全銀協TIBORの公表が停止された場合、代わりに参照する後継金利や同金利に承継する発動条件(トリガー)などの取り扱いを記した文章のこと。全銀協は契約書などに盛り込むよう促す。

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