シリコンバレー銀、分割売却へ シグネチャー銀はNY州地銀が買収

2023.03.21 17:05
海外金融当局
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米連邦預金保険公社(FDIC)は3月20日、経営破綻したシリコンバレーバンク(SVB)の売却について、通常の銀行部門と富裕層対象の部門に分割して売却することを決めた。売却先の応募期限は前者が3月24日20時、後者は3月22日20時(いずれも米国東部標準時)。


FDICは3月10日のSVB破綻後に同行の管財人となり、シリコンバレー・ブリッジ・バンク(SVBB)を設立、その売却先を探していた。複数の金融機関が興味を示しているもののクロージングには至っていないため、「入札過程をより簡素化し、多くの入札者を集める」(FDIC)ことを目指し、今回の措置に踏み切った。


具体的には、入札対象を大きくSVBBとその子会社のシリコンバレー・プライベート・バンクの2つに分ける。入札資格を持つ金融機関は、銀行全体の買収に入札できるほか、それぞれの銀行の預金や資産のみに絞って入札することもできる。


またFDICは、同じく経営破綻したニューヨーク州のシグネチャー・バンクの売却先が同州のフラッグスター・バンクになることも発表した。シグネチャー・バンクは3月12日に破綻、FDICが管財人となり売却先を探していた。同行の総資産は22年12月末現在で約1104億ドル、総預金は886億ドル。同州を本拠に、カリフォルニア、コネチカット、ノース・カロライナ、ネバダなどの各州に40店舗を展開。法人取引が主力で不動産、法律事務所、暗号資産関連の企業などとの取り引きが多かった。


フラッグスター・バンクは、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NCB)の子会社。NCBは22年12月末現在で総資産約901億ドル、総預金587億ドル。同行はシグネチャー・バンクの総資産のうち384億ドル分を取得した。このうち現金は250億ドル、ローンは129億ドル分だが、27億ドルで購入した。


シグネチャー・バンクの預金はフラッグスター・バンクに引き継がれるが、暗号資産関係の預金約40億ドルは引き継がれず、FDICが直接預金者に返金する。同行の暗号資産事業については、破綻前に顧客のマネーロンダリング(資金洗浄)に関して監督当局から調査を受けていたという報道もあり、どのような形で処理されるのか注目されていた。


米国や欧州ではSVBの破綻以降、経営危機が明らかになる金融機関が相次ぎ、金融不安が増大している。3月19日には日米欧など6カ国の中央銀行が米ドル供給策を拡充し、安定した流動性確保の姿勢を示した。FDICとしては、なるべく速やかに破綻処理を終了させ、市場の動揺を抑えたい考え。

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